お役立ちコラム

経営幹部の「ITリテラシー」が会社の命運を握る

「ITリテラシーと企業の業績は比例関係にある」と聞いて、「YES」と答えられる人は、なにも問題ない。しかし「よくわからない…」という方は、ぜひ下記の2016年中小企業白書のデータを読み込んでほしい。特に経営幹部の方は、「IT投資」という選択肢は、今後の最重要選択肢を常に頭に入れてほしいものである。その重要性について理解が至らない場合は、「自身のITリテラシー」を高めるほかはない。なぜなら、「ITリテラシー」が乏しいとそのメリット、期待効果が十分に理解できないからだ。

業務実績とIT投資の関係

下記の第2-2-1 図は、IT投資を行っている企業と行っていない企業の直近3年間平均の売上高、売上高経常利益率を業種別に比較したものである。これを見ると、売上高、売上高経常利益率共に、IT投資を行っている企業の方が、行っていない企業に比べて水準が高いことが分かる。もちろん、このデータだけでは、「既に売上高が高く、経常利益率が高い企業だからIT投資を行えた」という見方ができなくはない。

 

業種別にみたIT投資有無と業務実績の関係

 

しかしながら、続けて下記の第2-2-2図をみてほしい。ここでは、2007年度から2013年度までのIT投資の実施状況について継続的に回答している中小企業のうち、2007年度から2009年度までIT 投資をしておらず2010 年度にIT投資を開始し、その後2013年度まで継続して投資を行っている企業(以下、「IT 投資開始企業」という。)と、2007 年度から2013 年度まで一度もIT 投資を実施していない企業(以下、「IT 投資非開始企業」という。)のそれぞれの売上高経常利益率の推移を示したものである。これを見ると、IT 投資開始企業は、投資を開始する以前の2007年度は売上高経常利益率がIT投資非開始企業を下回っている。

 

しかし、2010年度以降は、IT 投資非開始企業の売上高経常利益率が2007 年度から2013年度にかけて微増しているのに対し、IT投資開始企業は、売上高経常利益率を投資開始前の2007 年度に比べて大きく伸ばしていることが見て取れる。この結果より、IT投資開始企業が売上高経常利益率を伸ばすことができたのは、2010 年度にIT 投資を開始することで業務効率化や売上の拡大を行い、収益力を向上させることで利益率を向上させたことも要因の一つであると考えられる。

 

 

IT投資でどんな効果が得ることができたのか

では、実際にIT投資でどんな効果が得られたのだろうか?下記の第2-2-3 図は、自社ホームページの活用とソーシャルメディアサービスの活用によって得られる効果を示したものである。これを見ると、自社ホームページの開発・活用によって得られる効果としては「営業力・販売力の強化」の割合が最も高く、次いで「売上の拡大」、「顧客満足度の向上・新規顧客・新市場開拓」の順になっており、外部の市場活動に対して効果が高く、他方で、ソーシャルメディアサービスによって得られる効果としては、「社内の情報活用の活発化」の割合が最も高く、さらに「業務プロセス合理化・意思決定の迅速化」や「コスト削減」、「利益率・生産性の向上」の項目については、自社ホームページの開発・活用に比べて効果を得られたと回答する企業の割合が高くなっており、内部の管理体制に対しても効果が高いことが挙げられる。

 

 

ではなぜ中小企業はIT投資をしないのか

IT投資が業績の維持向上に役立つという明確なデータが出ているのも関わらず、なぜIT投資をしないのか?それに関しては、下記の第2-2-10図、第2-2-11 図を参照にしてほしい。第2-2-10図は、IT投資が重要でないと回答している中小企業は未だ約40%を占めていることを示している。さらに第2-2-11図は、IT投資が重要であると考えているものの、現在IT投資を行っていない企業に対して、IT投資を行わない理由を尋ねたものである。これを見ると、「IT を導入できる人材がいない」と回答した企業が最も多くなっており、次いで「導入効果が分からない、評価できない」、「コストが負担できない」の順になっている。これは、ITへの理解が低いが故に、IT投資の必要性や期待効果が理解できず、ITそのものに投資はしないし、IT人材の育成や採用もしないことを示しているデータともいえる。

 

中小企業におけるIT投資の重要度

 

IT投資未実施企業のIT投資を行わない理由

 

つまり、決裁権を持つ経営幹部のITリテラシーが高ければ、IT投資に必要性や期待効果を理解したうえで、外部の市場活動や内部の管理体制等にITを積極的に活用し、業績アップするという好循環がイメージできるが、逆の場合は、いつもまでのIT投資と業績が直結せず、今までの商売のやり方で甘んじ、結果として「業績が伸びようもない」という結論を導く形となる。

今まで中小企業のIT投資というと「戦術レベル」(実施内容)の検討事項と思われがちだったが、今後は、「戦略レベル」(会社の方向性)でとらえる必要性がますます強まっていくのであろう。

執筆者

野村忠史野村 忠史(のむら ただし)

ナインソーツコンサルティング株式会社 代表

1971年生まれ。販売力強化コンサルタント。中小企業診断士。

営業会社入社後、最下位スタートであったが、独自ノウハウを構築し、1年後に200人のトップに。さらに80人中3人選出の最優秀賞に、新人2人を受賞させる。

その後、13年間あらゆる業種業態で一貫して営業職と勤め、常に上位10%にキープ。

経営コンサルとして独立後は、あらゆる業種業態に再現できる「売れる仕組み」を独自に考案し、2014年ナインソーツコンサルティング(株)を設立。

年間100件以上のコンサルとセミナーを通して、全国各地の中小企業の販路拡大・販売力強化支援を行っている。

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