お役立ちコラム

<補助金・最新情報>平成29年度補正予算事業「経済産業省補助事業」の概要について

2018年2月1日、平成29年度補正予算が国会で政府案通りに成立しました。今回の予算事業は昨年から続く、今後の経済の大きなうねりの起点になると考えられます。昨年からの関連する政策を読み解くことで、内容の理解を深められればと思います。

 

新政策パッケージについて

2017年12月8日、政府は「生産性革命」を実現させるべく、「新しい経済政策パッケージ」を取りまとめました。この中で、2020年度までを「生産性革命・集中投資期間」として、あらゆる政策を総動員することと掲げています。

具体的には、『この3年間で我が国の全中小企業・小規模事業者の約3割に当たる約100万社のITツール導入促進を目指す』としています。

また、これを具体に進める政策として、「生産性向上特別措置法(案)」により、我が国産業の生産性を短期間に向上させるために必要な支援措置を講じると言う取組みが始まります。

生産性向上特別措置法とは

上記の「生産性革命」を執行するための措置として、2018年(第196回)通常国会で審議予定となっており、閣議決定されたと2月9日に経済産業省から発表されました。

法案の概要・骨子は、以下となります。

<生産性向上特別措置法(案)>

1.プロジェクト型「規制のサンドボックス」制度の創設
参加者や期間を限定すること等により、既存の規制にとらわれることなく新しい技術等の実証を行うことができる環境を整備することで、迅速な実証及び規制改革につながるデータの収集を可能とします。
2.データの共有・連携のためのIoT投資の減税等
データの共有・連携を行う取組を認定する制度を創設し、こうした取組に用いる設備等への投資に対する減税措置等の支援を行います。また、事業者が国や独立行政法人等に対しデータ提供を要請できる手続きを創設します。
3.中小企業の生産性向上のための設備投資の促進
中小企業者が、市町村の認定を受けた導入計画に基づいて先端設備等を導入する際に支援措置を講ずることで、地域の自主性のもとで、生産性向上のための設備投資を加速します。

(出典:経済産業省ニュースリリース2018/2/9より)

市町村の認定を受けた先端設備等の導入とは

上記の「生産性向上特別措置法(案)」の第三項に掲げられている生産性向上のための設備投資の促進とは、法案成立後に各市町村が独自に定める計画書に基づき、事業者が「先端設備等導入計画」書を自治体に提出し、認定を受けると言う仕組みとなります(下図)。

 

生産性向上のための臨時措置法

図.生産性向上のための臨時措置法(仮称)の仕組み(案)
(出典:平成30年度「経済産業関係税制改正について」平成29年12月経済産業省)

 

この臨時措置法により、固定資産税の特例が創設されます。詳細は下表の通り。

 

表.生産性向上のための臨時措置法(仮称)認定による税制措置

対象者

※1

中小企業者等(資本金額1億円以下の法人、従業員数1,000人以下の個人事業主等)のうち、先端設備等導入計画の認定(労働生産性年平均3%以上向上、市町村計画に合致)を受けた者(大企業の子会社を除く)
対象地域 導入促進基本計画の同意を受けた市町村※2
対象設備

※1

生産性向上に資する指標が旧モデル比で年平均1%以上向上する下記の設備

【減価償却資産の種類(最低取得価格/販売開始時期)】

◆機械装置(160万円以上/10年以内)

◆測定工具及び検査工具(30万円以上/5年以内)

◆器具備品(30万円以上/6年以内)

◆建物附属設備(※3)(60万円以上/14年以内)

その他

要件

・生産、販売活動等の用に直接供されるものであること

・中古資産でないこと

特例措置 固定資産税の課税標準を、3年間 ゼロ~1/2(※4)に軽減

※1 市町村によって異なる場合あり  ※2 市町村内で地域指定がある場合あり

※3 家屋と一体となって効用を果たすものを除く  ※4 市町村の条例で定める割合

(出典:平成30年度「経済産業関係税制改正について」平成29年12月経済産業省)

 

認定を受けることのメリット

この認定を受けることにより、以下の大きな二つのメリットが得られます。

[1]税制支援措置(3か年の時限措置)

償却資産に係る固定資産税の特例措置。

 

○ 以下の要件を満たす設備投資を対象

① 市町村計画に基づき中小企業が実施する設備投資

・中小企業は商工会議所・商工会等と連携し、設備投資計画を策定

・企業の設備投資計画が市町村計画に合致するかを市町村が認定

② 真に生産性革命を実現するための設備投資 (導入により、労働生産性が年平均3%以上向上する設備投資)

③ 企業の収益向上に直接つながる設備投資 (生産、販売活動等の用に直接供される新たな設備への投資)

※ ②及び③の要件を満たすことにより、単純な更新投資は除外される。

○ 特例率は、3年間、ゼロ以上1/2以下で市町村の条例で定める割合とする。

○ 当該特例措置は、集中投資期間(平成30年度~32年度)に限定。

[2]ものづくり補助金の重点支援

平成29年度補正予算事業の一つである「ものづくり・商業・サービス補助金」(いわゆる“ものづくり補助金”)等の予算措置を拡充・重点支援すると述べられています。具体的には、類型2(一般型)の補助率が1/2から2/3に拡充されます(下表の※3)。

 

表.平成29年度補正事業「ものづくり・商業・サービス補助金」の対象経費と補助率

平成29年度補正事業「ものづくり・商業・サービス補助金」の対象経費と補助率

※1 本事業遂行のために必要な専門家を活用する場合 補助上限額30万円アップ

※2 連携体は10者まで。さらに200万円×連携体参加数を上限額に連携体内で配分可能

※3 以下のいずれかの場合には補助率2/3

・平成30年通常国会提出予定の生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)に基づき、固定資産税ゼロの特例を措置した地方自治体において補助事業を実施する事業者が、先端設備等導入計画(仮称)の認定を取得した場合

・3~5年で、「付加価値額」年率3%及び「経常利益」年率1%に加え、「従業員一人当たり付加価値額」(=「労働生産性」)年率3%を向上する中小企業等経営強化法に基づく経営革新計画を、平成29年12月22日の閣議決定後に新たに申請し承認を受けた場合

(出典:「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業」の補助要件等について」平成30年1月経済産業省・中小企業庁 事業概要より)

 

つまり、通常であれば補助率1/2で1000万円の上限額に達するのは、2000万円以上の設備を購入する場合ですが、上記の認定を受けることにより、1500万円以上の設備購入であれば補助率2/3により上限の1000万円が適用されます。なお補助金の応募段階では、この法律に基づく計画は認定の申請中等でも認める予定となっています。

生産性向上に繋がるIT化について

一方、平成29年度補正予算事業として、「サービス等生産性向上IT導入支援事業」いわゆる「IT導入補助金」も今回の大きな目玉事業となります。この補助事業は昨年度創設された事業で、生産性向上に必要なIT・クラウド導入を強力に支援すると言う目的となっており、業務のバックヤード(日常事務)の効率向上が対象となります。昨年度実施された中小企業におけるIT利活用の実態調査の結果、下図のようにオフィスシステムとメーラー以外のソフトの導入率が低いことが判明しています。

 

中小企業におけるIT利活用の実態
図.中小企業のIT利活用の実態
(出典:「中小企業・小規模事業者の生産性向上について」平成29年10月経済産業省)

 

このため、生産性向上に資するツールとして①簡易税務・会計処理、②POSマーケティング、③簡易決裁、④在庫・仕入れ管理、⑤顧客情報管理・分析などのIT利活用が想定されています。この事業では、今後3年間で我が国の全中小企業・小規模事業者の約3割に当たる約100万社にITツール導入促進を目指すとなっています。このうち、今回の平成29年度補正予算補助事業としては「IT導入補助金」だけで500億円の予算が為され、約10万社が採択される予定となっています。昨年の実績が約1万5千社だったことから、正しく、これから生産性革命のための集中投資が始まろうとしていると言えるでしょう。
人工知能(AI)、ロボット、IoTなど生産性を劇的に押し上げるイノベーションを実現し、人手不足に悩む中小・小規模事業者も含め、企業による設備や人材への投資が進むことが政府の思惑の様です。各社の取組みにより、職場の働き方改革も実現出来れば素晴らしい取組みと思います。
但し、補助金活用はあくまで事業推進の手段の一つです。先ずは、事業者の方々が、中長期の事業構想・事業計画を立て、その遂行の一助として、設備導入等に補助金を活用するというアプローチが肝心となります。皆様の事業で少しでも良い効果に繋がるよう、積極的に有効活用出来れば良いですね。

執筆者

村上 出

村上 出(むらかみ いずる)

大学では、生物系のテレメトリーシステムを専攻。卒業後、工場プラントの自動制御システム・自家発/売電システムのSEとして従事。電機メーカーに転職し、マルチメディア系OS・アプリケーションシステムの設計・開発。その後、車載システムの企画・設計・開発・品質管理・市場対応など、ITS・テレマティクス製品の一連のものづくり工程を商品開発責任者として担当。自動車メーカーでの開発実状に詳しい。2009年4月に独立。東京都や神奈川県を中心に、中小企業・小規模事業者様の経営全般のご支援ならびに、国・自治体などの地域産業振興政策をサポート。近年、モノづくりBtoB企業様からも、ウェブマーケティング関連のご相談を頂き、クライアント様に合う方策をご提案・ご支援させて頂いている。また、中小企業のIoT化についても、ご相談が増加しており、最新・低コストな取組みご支援にも応じている。

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