お役立ちコラム

システム開発を成功に導くRFPの書き方

みなさんは自社のシステムやWebサイトの導入・更新を外部のベンダーに委託するときに、どのように要件を伝えていますか?

もちろん提案依頼書(Request For Proposal: RFP)を作成して、提示するのがいいとわかっているけど、何を書いていいかわからない、うまく書くことができない、RFPを作る時間をとることができないということで、簡単な文章あるいは口頭で要件を伝えて、後はベンダーの提案にまかせてなんとなく良さそうなベンダーに依頼する、場合によっては、先にベンダーを決めて要件を口頭で伝えて後はお任せ、といったことはないでしょうか。

作業がうまくいっている、ベンダーとの関係がうまくいっている間はそれでもいいのかもしれません。ただこのような依頼の仕方では、各ベンダーからの提案レベルが統一されず正しく比較できないだけでなく、一旦問題が発生すると依頼側の責任として追加の費用が発生したり、出来上がったシステムやWebサイトが思っていたものと大きく異なったりといったことが発生しかねません。

そこで今回は、RFP作成のポイントといかに効率よく作成するかといった点について説明します。

RFP作成のポイント

RFPの記載項目として必要なものは、以下のようなものとなります。

1.システム概要
1.1開発の背景
1.2開発の目的
1.3目標・成果
1.4予算規模
1.5スケジュール
2. 提案の要件
2.1 業務の内容・ターゲットユーザ
2.2 提案を依頼したい範囲
2.3 納品成果物
2.4 システム開発・サイト構築の手法
2.5 機能要件・デザインユーザビリティ要件
2.6 性能・セキュリティ要件
2.7 移行要件
2.8 運用・保守要件
2.9 教育・研修要件
2.10開発・構築体制
3. 提案の手続き・契約事項
3.1 提案スケジュール
3.2 提案提供資料
3.3 選定基準・方法
3.4 契約条件
4. その他
4.1 詳細資料
4.2 問合せ窓口・方法

項目も多く、記載内容も多岐にわたりますね。これらをきちんと記載するには多くの時間と対象とするシステムやWebサイトについての理解と知識が必要です。
それでは、そんなに時間が取れない、システムやWebサイトについても専門ではないのでICTの知識もそれほど持っていないという場合は、どうすればいいでしょうか。
上記の項目で特にポイントとなる項目が以下です。
「1システム概要」、「2.1業務の内容・ターゲットユーザ」、「2.2提案を依頼したい範囲」、「3.3選定基準・方法」
「1システム概要」に関しては、なぜ今回システムやWebサイトの導入や更新を行うのか、現在どのような課題があってどう解決したいのか、システムやWebサイトの導入や更新の目的やゴールとして何を設定するのかについて、みなさん自身の思いをベンダーに伝えることが重要です。この点でみなさんとベンダーとの間で齟齬があると、提案の内容や構築されたシステムやWebサイトが思っていたものと違うといったことが発生します。
「2.1業務の内容・ターゲットユーザ」については、みなさんが一番よく理解されていることになります。同じ業種、業態でも企業により異なる点も多いので、提案に当たりベンダーにみなさんのことをよく理解してもらうことが必要です。
「2.2提案を依頼したい範囲」で複数のベンダーに提案を依頼する際の基準を合わせます。ここの記載内容が明確でないと各ベンダーの提案内容や見積範囲にバラつきが出て、同じ基準で判断できなくなります。
「3.3選定基準・方法」では、みなさんがベンダーを決定する際に何を重視するのか、どういう提案を望んでどういうベンダーに作業を依頼したいのかを示すことになります。
これら以外の項目についても、もちろん詳細に記載できればそれに越したことはありません。
ただRFP作成の際には、まずはこれらの項目をきちんと書き上げることを目指してください。

RFP作成を効率よく

RFPを効率よく作成するには、どうしたらいいでしょうか。
まず、RFPのひな形が多くのサイトで公開されています。

ITコーディネータ協会

https://www.itc.or.jp/foritc/useful/rfpsla/

情報処理推進機構(IPA)

https://www.ipa.go.jp/sec/softwareengineering/tool/ep/ep3.html

 

これらを参考にすることでどのように記載したらいいかを理解できます。
ただ、ひな形の記載内容をそのまま使えることはほとんどないでしょう。それでは、結局自分達で全部記載しないといけないかというと、そういうわけではなく、いくつか方法があります。
ひとつは、「2提案の要件」の上記ポイントであげた項目以外に関しては、自分達でできる範囲の記載レベルとして、あとはベンダーの提案に任せるという方法です。
業界や技術動向などは、ベンダーの方がよく知っている場合も多いので、ある程度の記載ができれば、業界・技術動向を踏まえてより良い提案をしてくださいと依頼するのがいいでしょう。「3提案の手続き・契約事項」については、自社の他の契約やRFPのひな形を参考に記載することができるでしょう。
もうひとつは、RFPの作成を外部に委託するという方法です。
もちろん費用は発生しますが、自分達がRFP作成に要する時間や作成できるRFPの完成度と比較し、外部に委託する方が有効な場合も多くあります。なお、RFPの作成を外部に委託する際は、提案を依頼するベンダーとは異なるところに依頼するようにします。また、外部に委託する際でも上記ポイント項目だけは、自分達で考え記載する方がいいでしょう。
RFPの作成をシステムやWebサイトの導入・更新が決まってから作成すると、時間の制約があったり、本業務と並行して実施することになったりと、RFP作成に取り組むのが一層難しくなります。必要になる前に仮のものでも構わないので、社内関係者も巻き込み時間をかけて、自分達で作ってみておくことも有効です。RFPを作成することで自分達のシステムやWebサイトに対しての理解が深まるだけでなく、自分達の業務への理解や社内関係者内での共通認識を深めることにも役立つことでしょう。
ぜひみなさん自身でRFPを作成し、システムあるいはWebサイトの構築を納得のいくものとしてください。

執筆者

上野上野 貢

大学を中心とした教育機関の業務・教育システムの構築、開発に長年従事。大学から中・高、専門学校、塾等の業務システム、教育システムの要件定義から運用に至るまで多数の業務支援経験を持つ。インターネットの黎明期よりWEBを利用したシステムの構築、開発や企業のeラーニングシステム導入、利用、サービス提供に関しての支援など専門的な分野で活躍している。

お役立ちコラムの
トップへ

ページの先頭へ