ICT活用実践企業紹介

ヘアサロン向けPOSレジシステムの導入で顧客満足度の向上を実現

美容室 Y社

img01皆さん、日本全国において美容室(ヘアサロン)の数がどのくらいあるかご存知でしょうか?1990年代後半から2000年代初頭にかけて起こったカリスマ美容師ブーム以降、現在も美容室の数は年々増え続けており、平成27年には全国で23万件を超える美容室が営業を行っています。これは、コンビニエンスストアの店舗数の約4倍の数に相当し、現状としては供給が需要を上回る、いわゆるオーバーストアの状態にあると言われています。美容業界全体の売上高は年々減っているのに対して、店舗数は逆に増え続けていることから、必然的に店舗間の競争は激化の一途をたどっています。どの店舗も、生き残りをかけて様々な工夫や取組を行うことが求められる時代になっています。

本事例では、そういった取組の1つとして、ヘアサロン向けに開発された、POSレジを中心とする顧客管理システムの導入により顧客満足度の向上を図り、売上拡大を実現させた美容室をご紹介します。

 

事例企業概要

東京都内で美容室を経営する株式会社Y(以下、「Y社」)は、2009年に1店舗目をオープンして以降、店舗数を増やしてきており、現在では4店舗の運営を行っています。アットホームな雰囲気の中で、お客様1人1人の髪質に合わせたカットやパーマなどの定番メニューに加え、フェイシャルやヘッドスパなど豊富な施術メニューを提供しています。

 

業種 美容業(美容室)
スタッフ数 35名
本社所在地 東京都

 

経営課題

1店舗目をオープンしてから来客数・売上額共に右肩上がりだったY社ですが、3店舗目をオープンしたあたりから売上が横這いの状態が続いていました。それまで右肩上がりの状況であったことから、経営状況や顧客の来店状況などを振り返って分析することの無かったY社でしたが、危機感を強く感じたことから、コンサルタントを交えて分析を行うことにしました。分析の結果、売上が伸び悩む1番の要因として、既存顧客の再来店が減っていることが挙げられました。カットやパーマなど施術の面ではサービスレベルは維持されていたものの、予約受付の利便性やお客様への接客の面において、必ずしもお客様を十分に満足させているとは言えなかったのです。予約受付の面では、インターネットが普及しネットで予約をすることが普通に行われるようになってきた中で、Y社では電話による予約受付のみを行っていました。お店が混み合う時には、予約の電話をとり損ねてしまうこともありました。また、Y社ではオープン以来、お客様の情報管理として紙のカルテを使用していたのですが、お客様の来店情報やカルテの内容がスタッフ間で上手く情報共有出来ず、接客がスムーズに行われなかったりお客様を長い時間待たせてしまったりすることもありました。こういったことが積み重なり、既存顧客の一部が他店に流れてしまっている状況にあったのです。

一方、売上管理の面においても課題がありました。Y社では当時POSは使用しておらず、通常のレジで会計を行い、売上集計はスプレッドシートを使って行っていました。閉店後に各店舗で売上集計を行う手間が発生していたとことに加え、顧客別やメニュー別などで売上分析を行うことが出来ない状態にあったのです。
このような状況を改善する為、コンサルタントからのアドバイスのもとY社ではITの活用を検討するに至りました。

 

ヘアサロン向けPOSレジシステムの導入

IT活用の検討を開始し、自社の現状に合ったシステムがないかを色々と調べていく内に、ヘアサロン向けに開発されたシステムとして、POSレジの機能に加えてカルテによる顧客情報管理や、ネットでの予約受付を可能にする予約管理の機能などを網羅した、クラウドベースの顧客管理システムが幾つかあることが分かりました。

 

img02

 

こういったシステムでは、お客様の情報を中心に予約から施術、売上までの情報が一元的に管理され、スタッフ全員で共有することが可能になることから、Y社が抱えていた課題の多くが解決されると考えられました。その為、複数のシステムを無料試用し比較検討をした後、Y社のニーズに1番マッチしたシステムを導入することに決定しました。導入においては、これまで紙で作成していたお客様のカルテをデータ化する際に少し手間がかかったものの、それ以外は比較的スムーズにシステム利用を開始することが出来ました。

 

システム導入の効果

ネット予約の機能をお客様に提供したことで、電話による予約の数が減少し受付の負荷が大幅に軽減しました。それによって接客・応対がスムーズに出来るようになり、お客様を待たせることが以前より格段に減りました。ネットから予約登録されている時間帯を見ると、予約の約4割が店舗の閉店している時間帯に行われており、時間を気にせずに予約ができるという利便性が効果を発揮していることが伺えました。

また、予約管理と連動してお客様のカルテを呼びだすことが可能になったことで、カルテを探す手間がなくなりました。カルテが電子化されたことにより、過去の来店履歴や施術内容を関連するスタッフ全員が漏れなく共有することができ、その情報をもとに接客・施術・応対を行うことでお客様の好感度が大きくアップしました。
加えて、POSレジが予約管理や顧客管理と連動している為、会計処理をスムーズに行うことが可能になるとともに、売上集計の手間を省くことが出来ました。また、蓄積された顧客データと売上データをもとに、様々な観点で売上分析を行うことが可能となった為、DMやキャンペーンなどの販促を効果的に行うことが出来るにようになりました。

 

これらの結果、お客様のY社に対する満足度は大幅に向上し、それによってお客様が他店に流れてしまう割合が大きく減少しました。加えて、リピート率や1来店あたりの単価も上昇したことで、売上は再び右肩上がりで増加する状況となった次第です。

 

まとめ

美容室のように、店舗による接客・応対でお客様との信頼関係を築くことがとても重要なビジネスモデルの場合、POSレジを中心とした顧客管理システムの導入は極めて有効と言えます。顧客満足度を高めることが長期的な来店につながり、安定的な売上が見込めるようになる為です。

ITツールは、これまで業務の効率化や生産性の向上の面で導入されることが多かったように思いますが、これからは売上を向上させる為にITツールを上手に活用することが求められます。店舗型のビジネスの場合、来店してくれたお客様との関係性を如何に強化出来るかが重要なポイントであることから、その為にITツールを活用することが有効となります。今回の事例のように、その中心となるのはPOSレジを中心とした顧客管理システムと言えるでしょう。

美容室 Y社

matsumoto松本年史

KSFコンサルティング 代表

https://www.facebook.com/KFScns/

約15年間にわたり、主に外資系IT企業において新規開拓営業に従事した後、経営コンサルタントとして独立。独立前の10年間は、データ分析ソフトウェア(BI/BA)の導入を通じて、顧客企業の意思決定システムやマーケティング自動化システムの構築支援を行う。独立後は、ITコーディネータ/中小企業診断士として、中小企業を中心にコンサルティングを提供。Webマーケティングを含むマーケティング戦略の立案から営業支援まで、顧客企業の売上拡大に向けた取組みを幅広く支援している。2016年4月より、東京商工会議所のWeb戦略パートナーとして活動中。

ICT活用実践企業紹介の
トップへ

ページの先頭へ