ICT活用実践企業紹介

ビジネス目的(セミナー集客)の達成に向けたICT利活用の考え方と実践事例

情報サービス業 T社

本事例は2016年12月より、東京商工会議所のWEB戦略パートナーとして、中小企業向け(個人事業主含む)に「個別相談(1回)」および「専門家派遣(3回)」の支援を通じた、ICT利活用の実践事例の概要について紹介いたします。

1.背景

本事例で紹介するT社は、「アクセサリー等の小売、コーチング」を生業とする事業者です。
現在(2017年11月時点)は、東京都から大阪府へと拠点を移して活動されています。

①東京商工会議所主催の戦略的WEB活用実践セミナーの受講者として参加された事業者です。

②戦略的WEB活用実践セミナー受講をきっかけとして個別相談会ではWEB活用に関するお悩みをご相談されました。

③個別相談のお悩みに対して、専門家派遣を希望されました。

・専門家派遣でのご相談内容(目的)は「イベントの集客方法について相談したい」との内容です。

2.現状把握と対策の狙い所

(1)目的の明確化

T社が「イベントの集客」を行いたいという漠然としたご相談内容に対して、ヒアリングを通じて効率的に進めていく為には、5W2Hの観点で(誰が[Who]、いつ[When]、どこで[Where]、何を[What]、なぜ[why]、どのように[How]、いくらで[How much])等の目的や方針を段階的に明確化して、ターゲットとなる客層について現状把握することがポイントとなります。

(2)ペルソナ分析

T社の事例では、セミナーの集客を行う為の条件として、有料または無料でのお申込みの種類があり、ベルサール渋谷ファーストというイベントを企画する会場で、約1,300人のお申込みを2017年1月中に実現したいという内容でした。集客を行いたいセミナーの内容は、海外の著名な方を招聘したビジネスセミナーの形式であった為、集客を行いたい客層は、主として30代以上の男性で、渋谷の会場にアクセスし易い関東圏に在住しており、有料セミナーを受講することのできる一定の所得(年収)のある顧客像が、ベルソナ分析を経た「ターゲット(狙い所)」の仮説の設定として考えられます。仮説を検証する為に、可能な範囲でヒアリングやインタビュー等のリサーチを行うことで、分析の精度を高めます。

3.目標の設定

T社の事例では、セミナーの集客を行う条件として、有料または無料でのお申込みの種類があり、ベルサール渋谷ファーストという会場に、約1,300人のお申込みを2017年1月に実現したいという目標でした。

「約1,300人のお申込み」という目標(最終コンバージョン)を達成する為に、「Q(Quality:品質)、C(Cost:費用)、D(Delivery:納期)」の観点で、中間コンバージョンとなる目標に分解する事ができます。例えば、「Q(Quality:品質)」の目標設定の例として、WEBサイトを活用して集客を行う場合では、WEBサイトを構成するコンテンツページの品質として、ある期間における特定ページに対するアクセス数や離脱数等の数値の増減が、目標値(先行指標:KPI)の具体的な設定例として考えられます。
次項の「対策の検討と実施」と併せて、目標(最終コンバージョン)を達成する為に必要と考えられる中間コンバージョンとなる目標の設定を、段階的に詳細化していくことが効率的な対策に向けたポイントとなります。

4.対策検討と実施

T社の事例では、セミナー集客に対して高額な広告費を投じられるだけの予算はなく、集客に必要な期間も差し迫っていた状況であった為、T社が実現可能な「既存の経営資源(人、モノ、金、情報)」を活かす形で、出来るだけコストをかけずにセミナーの集客を行う方針で、対策を検討しています。

(1)T社の経営資源について<前提>

①セミナーのお申込みを行う為に活用できるWEBサイトがあること。
②SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)のFacebookやTwitter等では、数千人の友だちやフォロワーがいること。
③メール配信システムのクラウドサービスを契約していたこと。>

(2)対策の検討

セミナーの集客として「約1,300人のお申込み」という目標(最終コンバージョン)を達成する為に、お申込みを行う顧客の一連の行動を想定しながら、導線設計の検討を進めます。

①メインとなるWEBサイトの改善とサテライトサイトの利活用

  • 初めに、メインとなる既存の「WEBサイト」を活用して、ユーザー目線でセミナーの申込みに必要とされる情報に対して、過不足がないか等、既存の「WEBサイトのコンテンツ品質」の改善点を洗い出し、必要に応じてリライティング(説明文の書き直し)等を実施します。
  • 次に、メインとなる既存の「WEBサイト」以外に、サテライトサイトと呼ばれる複数のWEBサイトの作成を検討します。サテライトサイトでは、メインとなる既存の「WEBサイト」とは違った切り口で、セミナー集客の目標(最終コンバージョン)をより効率的に達成する為に、作られるWEBサイトのことです。例えば、セミナーの集客を行いたいターゲットとする顧客が高齢者の場合は、文字の大きさを見やすいフォントにしたり、落ち着いたデザインでWEBサイトを作成する等、顧客の属性に合わせて、申込みに繋がるような「ランディングページ」を活用することが、集客の増加に繋がります。

 

※補足説明:ランディングページの作成時に、同業他社等の近い業種の事例を参考(参考A)にして、記事の構成やデザインの魅せ方を検討されることをお薦めいたします。併せて、メイン以外でのサテライトサイトの作成として、便利なサービスを提供している事業者が複数ありますので、自社が活用し易い様々なサービスを検討(参考B、参考C)して、実践されることをお薦めします。

 

区分 項目 URL
参考A ランディングページ集めました。 http://lp-web.com/
参考B SNS活用 https://peraichi.com/
参考C メール配信システム活用 https://ja.wix.com/

②SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)を活用したWEBサイトへの集客

  • T社の事業者様は、FacebookやTwitter等のSNSを利用しており、個々のアカウントに対して(アクティブユーザーの割合は不明ですが)数千人の友だちやフォロワー数を確認することができました。
  • 今回のセミナーの集客を行う顧客のターゲットとして、ペルソナ分析を経て「30代以上の男性をメイン」に考えた場合、総務省が2012年から継続的に公開をしている「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」のデータを確認すると、主要SNSの利用者数や年代別推移のうち、Facebookでは30代、40代以上での割合が半数以上を占めて高いとの調査結果を確認する事が出来ます。SNSのFacebookを活用してビジネスに役立つセミナー情報を発信していくことは、顧客としてセミナーに来てもらいたい世代に合致する為、集客に繋がる施策の1つとして実施しています。
  • その他の施策として、「Facebookページ」や「AutoTweet(オートツイート)」を活用することで、セミナー集客の告知を複合的に実践するアプローチも実施しています。

③メール配信システムのステップメールを活用した告知

T社では、有料のメール配信システムをご契約されていた為、セミナー集客のイベント告知の施策を通じて、メインとなる既存の「WEBサイト」に誘導を行い、セミナーの申込みに繋げることを目的としたステップメール(一定のルールのもとで、複数のメールを順次配信する仕組み)の活用を実施しています。

5.効果の確認

T社の事例では、ビジネス目的に合致したアプローチとして、2016年12月からICT (Information and Communications Technology:情報通信技術)を利活用した複合的な施策を順次、実践していく事によって、結果として約1,300人のセミナーの集客を2017年1月に実現することができ、イベントとして盛況であったとのお喜びの声をT社より確認しています。

6.標準化と管理の定着

T社の事例で紹介した施策のうち、品質の標準化に向けた管理指標の参考となるツールを記載します。デミングサイクル(Plan⇒Do⇒Check⇒Act⇒Plan…)の考え方を土台に、ICTを活用して業務品質の改善を継続的に実践していく為には、品質を評価する為の判断となる指標(ものさし)を設定して、目的達成に向けて期待される効果の確認や施策の軌道修正を速やかに行う為の判断(管理)が、ビジネス環境に適応しながら成果を出し続ける為に重要となります。

 

項番 項目 管理ツール
WEBサイト活用 Googleアナリティクス
(※トラッキングコードの設定が可能であること)
SNS活用 Facebookページ(インサイト)、Twitterアナリティクス
メール配信システム活用 メール配信分析、コンバージョン分析など
(※メール配信システムのサービスに付随する)

7.まとめ

情報サービス業(T社)における、ビジネス目的(セミナー集客)の達成に向けたICT利活用の考え方と実践事例をご紹介いたしました。ICTを活用してビジネスで成果を生みだす為の重要成功要因(CSF:Critical Success Factor)として、T社の事業者様が日頃から培ってきた信頼関係や人脈(SNS:ソーシャル・ネットワーク・サービスを含む)が経営資源(資産)として活用する事ができたことが、今回の事例において特に教訓となるポイントとなります。貴社のビジネスにとって有効と考えられるICT活用の機会は無数にあります。是非、皆様も実践をして成果を上げて下さい。
[※本文に記載されている、会社名、製品名、サービス名等は、各社の商標登録または商標です。]

情報サービス業 T社

黒石 悌黒石 悌(くろいし なお)

東京都内のIT関連企業に所属し、新規サービスの開発から運用・改善までの複数プロジェクトを歴任する。”ビジネスとITの橋渡し”を主眼としたコンサルティング実績として、通信系(営業マネジメントのWEBサイト)や金融系(WEBシステム)の開発プロジェクトとあわせて、企業における内部統制の整備や ITSMS規格、PMS規格の認証取得支援等の実績を持つ。

2016年4月より、東京 商工会議所のWeb戦略パートナーとして活動中。

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