ICT活用実践企業紹介

CRM連携で顧客対応をきちんと管理

某業界団体様

中小企業や小規模事業者の皆様にとってウェブサイトで物販(EC)を行う仕組みは、人手や経費を抑え、販路開拓や商品宣伝をする常道ともなっています。また販売まではせずとも商品の魅力や使用例などを紹介し、それに対する問合せや資料請求を受ける仕組みを構築されている事業者様は多数いらっしゃると思います。しかし、折角サイトをアクセスしてくれた見込み客に対して、効果的な商品や情報案内が出来ているでしょうか?勿論、アイキャッチのデザインを工夫したり、ヒートマップ解析によりユーザーの導線を分析してコンバージョンを上げる対策をするなど、色々な試みをされている方も多いと思います。
本稿では、サイト訪問見込み客を如何に自社のファンになって貰い、結果として売上増につながる方法についてご紹介します。

見込み顧客を上客へ

SEO対策や広告などで、自社サイトへの誘導は様々な取組みをされていると思います。これらサイト訪問者の多くは、未だ御社や取り扱っている商品の事を良く知らない、いわゆる「見込み客」です。折角サイトを訪問してくれた見込み客に、如何に商品を知って貰い、購入や資料請求に繋げるかと言う事に苦心されている事と思います。しかし、たまたま訪れた見込み客が、その1回目の訪問で購入や資料請求にまで至る事は非常に難しいものですね。ここで有効な手法がCRMと言われています。これはCustomer Relationship Management(カスタマー リレーションシップ マネジメント)の略で、顧客分析により自社のサービスや商品との結びつきを積極的に構築する手法です。良く似た意味でMA(Marketing Automation:マーケティング オートメーション)と言う手法もありますが、これらの違いはおおまかに次の通りです。

  • CRM:顧客満足度や顧客ロイヤルティーの向上を目的とした顧客管理手法
  • MA:見込み顧客の獲得や上客に育てて営業を行う手法

顧客ロイヤルティーとは、“見込み客”を含む顧客が自社のブランドや商品・サービスなどに対して感じる信頼や愛着と言ったファンとなる要素の一つの事を指します。このCRMと言う手法を用いて、サイト訪問者の嗜好や属性の情報を提供して貰う仕組みを用意して、得られた顧客情報をもとに、キメ細か(適格)な“おもてなし”を実践して行く取組みとなります。

事例の概要紹介

今回、サイトにCRM機能を連動させ、問合せ情報の管理に取組まれたのは、ある業界で複数の企業が協調(協力)して取組みされる組合の様な組織の専用サイトです。こちらの組織では、問合せ・引合などの見込み客からの案件を複数の加盟企業で情報共有し、そのニーズによって、どの加盟企業が対応するか、またそのフォロー状況に関しても情報共有し、担当企業だけでは対応仕切れない場合などには、継続して他の企業がバトンを受けて対応するなどの運用を想定されています。専用サイトでは、提供する商材の紹介などの他にCRMと連動する問合せフォーム(下図)を用意し、この入力情報をCRMツールで取込むことにより、問合せ・引合情報の共同管理を実現されています。

 

お問い合わせイメージ

図.問合せ入力フォーム

 

 

サイト構築と顧客情報の管理・運営

一見したところ通常の問合せフォームと変わりはありませんが、このサイトでは、ZOHOと言うCRMツールを導入されており、上図の問合せフォームで入力された情報は、直接ZOHOのCRMツールのクラウド顧客データベースとして自動生成されます。CRMツール単体で導入するのではなく、ウェブサイトとデータ連携することにより、バックオフィスの手間も省けるメリットも得られています。

入力された情報は、顧客管理情報としてクラウド上で起承転結のプロセスで対応状況を管理し、これらは加盟企業間で情報共有が可能となります。起承転結のプロセスは、問合せ・引合などユーザーからの入力情報をもとに、事象の発生⇒内容の展開⇒対応内容⇒決着と言う対応情報を記録・情報共有し、ユーザーに的確な対応をする事により信頼感や満足度を高め、次の段階へ促したり、他の案件でも参考にするなど顧客満足度の向上と加盟各社のノウハウ共有・向上も図られています。

対応プロセスの説明:

①事象の発生:問合せフォームから入力された情報をもとに、CRMツールで顧客データベースを生成(情報追加)される。この内容をカテゴリー分類し、必要に応じて詳細内容や追加必要な情報を直接聞き取りし、問合せニーズを的確に把握する。

②内容の展開:ニーズ内容の分析結果やどのカテゴリーのニーズなのかと言う情報をもとに、ニーズ内容別に得意とする加盟企業に対応を振り分ける。もし複数のニーズがあった場合、顧客の優先度順位に沿って対応する。この時、どの加盟企業に、どの様なニーズの対応を振り分けたかの情報もCRMツールで情報共有する。

③対応内容:依頼された加盟企業はニーズに対応し、その情報をCRMツールで情報共有する。もし、自社では対応しきれない内容が明らかになった場合は、他の加盟企業に対応依頼し引き継ぐとともに、CRMツールで状況を全加盟企業と共有する。つまり、②と③は、必要に応じて繰り返される。

④決着:担当した加盟企業でニーズを対応し、ユーザーの課題を解決出来た場合は、決着した情報とともに対応内容をCRMツールで共有し、対応ステータスを“完了”とする。ここで、もし顧客から別のニーズが出されるなどにより、自社では対応できない場合は、②~④のプロセスを繰り返し、最終的にユーザーが満足(ニーズを満たす)するまで共同組織体で対応する。

 

顧客情報の蓄積と集約

サイトの問合せフォームとCRMツールを連動させることにより、顧客管理データベースが自動生成されますが、その後も必要に応じて、顧客情報や対応状況・ステータスを蓄積できるため、加盟企業の対応も的確・迅速になり、顧客満足度の向上にも良い効果が得られていると考えられます。この様に、ウェブサイト単体でSEOなどの対策を行うとともに、サイトと連携・連動するツールも各社登場しています。これらを上手く組み合わせて活用することで、顧客の信頼度や満足度の向上とバックオフィスの業務効率向上も実現可能になります。
今回ご紹介した複数の企業体による共同の取組みはまだ始まったところで、現在は試行段階ですが、今後、多くの問合せに対応する運用が本格稼働すれば、別の効能も得られるかも知れません。有用な効果があれば、またこのコーナーでもご紹介したいと思います。

まとめ

7月4日(先週)のICTスクエアお役立ちコラムでも松本氏が紹介されていますが、チャットボットもサイトに訪問したユーザーの満足度を維持・向上する良いツールと言えます。7月上旬に全国10か所で開催された「プラスITフェア」では、安価で簡単に中小企業でも導入・活用可能なチャットボットのツールがいくつも出展・紹介されておりましたので、ご覧になった方も多いかと思いますが、これから非常に役立つツールだと感じました。この様な安価で有用なツールを自社のウェブサイトに組込む事により、社員のユーザー対応の業務負荷を軽減し、見込み顧客を上客に導くためのデータも提供してくれることから、働き方改革と言う面でも積極的に活用して行く意義があると思います。

某業界団体様

村上 出

村上 出(むらかみ いずる)

大学では、生物系のテレメトリーシステムを専攻。卒業後、工場プラントの自動制御システム・自家発/売電システムのSEとして従事。電機メーカーに転職し、マルチメディア系OS・アプリケーションシステムの設計・開発。その後、車載システムの企画・設計・開発・品質管理・市場対応など、ITS・テレマティクス製品の一連のものづくり工程を商品開発責任者として担当。自動車メーカーでの開発実状に詳しい。2009年4月に独立。東京都や神奈川県を中心に、中小企業・小規模事業者様の経営全般のご支援ならびに、国・自治体などの地域産業振興政策をサポート。近年、モノづくりBtoB企業様からも、ウェブマーケティング関連のご相談を頂き、クライアント様に合う方策をご提案・ご支援させて頂いている。また、中小企業のIoT化についても、ご相談が増加しており、最新・低コストな取組みご支援にも応じている。

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