お役立ちコラム

今何をやればよいのか?マイナンバー <7月編>

いよいよ、10月のマイナンバー(個人番号)の通知が近づいてきました。多くの企業より「今具体的に何をやればよいのか分からない」との声をよく聞きますが、中小企業として最低限やるべき事項をしっかり押さえて準備すれば、残り3ヶ月で十分間に合うでしょう。今回から8回の連載で、「今月はここまでやりましょう」という形で、中小企業の目線で分かり易くかつ具体的に、マイナンバー制度への実務対応について説明したいと思います。

まず、7月~9月の3ヶ月間は、10月からの番号通知=従業員からの番号取得に備えた準備を行う期間となります。10月に従業員から番号を取得し、10月~12月の3ヶ月間で、来年1月以降の番号利用に向けた実務的な準備を行うことになります。そして、1月以降は、社会保障・税・災害対策の3分野で具体的に番号を利用・提供することになりますが、その後永続的に運用・定着化しなければならない項目も多岐に渡ります。

 

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企業は上記の通り、個人番号の取得から廃棄まで、プロセスに従った対応が求められますが、中小企業として最低限実施しなければならない具体的かつ実務的な内容は、内閣府などの公表資料からもなかなか読み取れないものです。今回のコラムでは、筆者の今までの実務経験や、コンサルファームでの経営管理体制構築支援コンサルの経験・知見を踏まえて、分かり易くご説明したいと思います。

それでは、早速「7月にやるべきこと」から始めましょう。

 

1.対象業務の洗出し

まずは、個人番号を取扱う対象業務を洗い出すことから始めましょう。これは、総務・人事部門、企画部門、経理・財務部門などの複数のメンバーを集めて、意見を出し合う形で進めるのが望ましいと思います。

対象業務を洗い出すことによって、今後マイナンバー対応を進めて行く際の具体的なイメージが構築でき、どのような範囲で対応しなければならないかが明確になる他、従業員などから番号を取得する際に通知・公表しなければならない「利用目的」としても活用することができます。

当面は、個人番号は社会保障・税・災害対策の3分野のみで利用することになるため、この観点から、例えば以下のように対象業務を網羅的に洗い出すことが考えられます。

 

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また、洗い出された対象業務ごとに、①自社で行う業務か、それとも外部に委託する業務か、②個人番号をエクセルなどにデータ化する(=特定個人情報ファイル)必要があるかどうか、なども併せて検討しておくとよいでしょう。

 

2.番号取得対象者の洗出し

次に、どういう人から個人番号を取得する必要があるか、取得対象者を洗い出しましょう。従業員だけではなく、社外の個人の支払先など、網羅的に洗い出す必要があります。

番号取得対象者を洗い出すことによって、今後誰に対して利用目的を通知・公表し、誰に対して本人確認を行って、誰から番号を取得すればよいかが明確になり、個人番号を網羅的に取得・管理することにつながります。

注意点として、従業員本人だけでなく、その家族(配偶者・扶養親族)も対象になる他、退職者でも年金受給者は対象になります。海外赴任者は、国内に住民票がなければ対象外ですが、日本に帰国して住民票を取得した時点で番号取得の対象となります。

社外の個人の支払先については、国税庁のHPに各種「支払調書」の提出範囲が公表されていますので、それを参考にすることができます。

例えば、以下のように、社内と社外に分けて取得対象者を網羅的にリスト化することが、考えられます。

 

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3.従業員への情宣

最近は、内閣府から国民に対してマイナンバー制度の情宣が行われていますが、まだまだ国民に十分浸透していないと思われます。番号法第2条には、企業は行政の施策に協力するよう努める旨の努力義務が規定されていますが、企業として自社の従業員に対してマイナンバーの基本を伝え、10月の番号通知に向けた準備を周知徹底することは、最低限行うべきでしょう。

今のうちに従業員に対して徹底しておくべき具体的な事項として、例えば以下のような項目が考えられます。

  1. 住民票に記載されている住所と、実際に居住している現住所は一致していますか?通知カードは、住民票の住所に簡易書留で郵送されるので、住民票の住所に実際に居住していない場合は、通知カードが届かなくなります。通知カードは転送されませんので、今のうちに住民票の住所と実際に居住している住所を一致させておく必要があります。
  2. 10月に通知カードが届いたら、家族分も含めてしっかり保管しましょう。企業が従業員から番号を取得する際に、初回の番号確認で通知カードが必要になります。通知カードを紛失した場合、再発行には相当の時間がかかることが予想されますので、なくさないようにしっかり保管しましょう。
  3. 10月に通知カードが届いたら、家族分も含めて個人番号カードの交付を申請しましょう。通知カードと一緒に、個人番号カード交付申請書が届きますので、写真を撮影して同封の返信用封筒に入れて、市区町村に返送します。なお、企業が従業員のカード交付申請を取りまとめることも可能ですし、スマホによる自撮りの写真データでも対応が可能となる予定です。
  4. 従業員に対して利用目的を通知・公表した上で、10月以降に個人番号の提供をお願いしましょう。その際に、本人確認として通知カードや運転免許証などの提出が必要となりますので、今のうちからお願いをしておくとよいでしょう。

 

4.基礎知識・リソースの確保

マイナンバーに関して、内閣府や特定個人情報保護委員会、厚生労働省、国税庁などから多くの資料が公表されていますので、ここから基礎知識を習得することができます。特に、昨年12月に特定個人情報保護委員会から公表された「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」には、安全管理措置を含め具体的な対応指針が盛り込まれていますので、一度目を通しておくとよいでしょう。

 

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また、マイナンバー制度への対応を自社単独で行うのか、コンサルなどの外部リソースを活用するかの検討・決定も、今のうちに行っておきましょう。自社対応する場合には、推進責任者を任命して、マイナンバー制度への対応を主導する他、外部セミナーなどに参加して知識・情報を収集するように努める必要があります。

 

5.プロジェクト体制の整備

社内のマイナンバー制度への対応に向けた体制を整備しましょう。例えば、総務・人事部門や企画部門など主管部署を決めるとともに、経理・財務部門、システム部門、内部監査部門などを加えたプロジェクトチーム(推進体制)を整備します。

主管部署は、今後のスケジュールを作成してプロジェクトを主導する他、社内勉強会・研修の主催や従業員への情宣・徹底などの責任を有することになります。

 

6.対応スケジュールの作成

最後に、以下の観点から7月以降の対応スケジュールを作成し、進捗状況を確認しながらプロジェクトを進めて行きましょう。

  1. 7月~9月 マイナンバー制度への対応準備
  2. 10月 従業員からの番号取得
  3. 10月~12月 マイナンバーの利用準備
  4. 1月~ マイナンバーの利用開始

10月の番号取得までに、企業として各種方針・規程類の整備や安全管理措置の実施など、数多くのことを行う必要があります。次回は、中小企業の目線に立って、8月~9月に最低限やらなければならない準備事項をご説明したいと思います。

 

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