お役立ちコラム

ネットショップを始める前に

急成長を続けてきたインターネットショッピング市場が、近年のノートPCの低価格化、スマートフォンやタブレットの普及などによって、「日常」として生活に無くてはならないものとなってきており小規模事業者のネットショップへの参入が多く見られます。しかし「商品をネットに出したら必ず売れる」と言われた時代はひと昔以上前に終わり、ネットショップを開いたが1年間で1つも商品が売れなかったといった最悪なケースに陥ることも実際に起こっています。そうならないために、ここではBtoCでのネットショップ参入の第一歩を踏み出す前にやるべきこと、考えるべきことなどをご紹介します。

 

■拡大するインターネットショッピング市場

経済産業省の「平成 26 年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤 整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、2014年のBtoC-EC市場規模は、12兆7,970億円(前年比14.6%増)。EC化率は、4.37%(対前年比0.52ポイント増)となっており、「図1」のように右肩上がりに着実に伸びています。

btoc-ec-624x386

(図1)BtoC-ECの市場規模およびEC化率の経年推移

■売れないECサイトの作られ方

ネットショップのECサイトの作り方は「製作業者へ委託して作る」「自社で作る」の2つに大きく分けられます。そして、どちらの方法も売れるECサイトにも売れないECサイトにも成り得ます。

製作業者へ委託した場合、整ったデザインの美しいECサイトが納品される事が多く、見た目がきれいなので売れそうな雰囲気があるのですが、「サイトは美しいが実態とズレがある」「商品やサービスについて正確に伝えきれない」といった事に納品後しばらくしてから気づく事が多くあります。しかし、修正しようとすると「自社で修正できない」「修正依頼すると費用がかかる」といった事がハードルとなり、そのままにしてしまいがちです。すると、実態と異なる掲載情報へのクレームが発生したり、情報が古くなったりしてアクセスが減るなど悪循環へ進み、売れないサイトとなってしまいます。

また、自社でECサイトを作る場合、Webサイト作成ソフトや画像編集ソフトを購入し、少しずつ作っていく事が多いのですが、Webサイト作成ソフトや画像編集ソフトの操作方法などの専門知識の難しさが負担となり、途中で挫折したり、更新頻度が徐々に少なくなるなどし、更新されないECサイトとなり、結果として売れないサイトとなってしまう事がよくあります。

 

 

■売れるネットショップへの近道は、こまめなPDCA

PDCAとはPlan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Action(改善)の4段階を繰り返すことによって業務を継続的に改善する手法です。ネットショップではお客様の姿が見えないため、短いサイクルでPDCAを繰り返し行うことが売り上げ増への近道です。

上記のような悪循環を避けるためにも「自社で更新・変更することができる」をECサイト製作の前提条件としておくと良いでしょう。最近ではWordやExcelの操作ができればある程度のホームページを作れてしまうサービス(CMS)がたくさん出てきました。大手ショッピングモールではYahoo!ショッピングの「ライト出店」、独自ドメインでは「はじめてweb」などが代表的です。

 

 

■始める前に考える事

現在のネットショップは多様化が進み大小様々なショップが膨大な数の商品を販売しています。そのような中で小規模事業者が効果的なECサイトを低コストで作るにはしっかりした戦略が必要ですが、まずは戦略策定の一歩前の段階として下記のようなことを考えておくことをおすすめします。

 

1.自社および商品の強みは?

「商品を売りたい客層」と「売りたい商圏」を明確に設定します。同時に「同業他社の動向」「商品の認知度」を改めて調べます。その結果を踏まえて自社および商品に対しSWOT分析を行って強みや弱みを明確にします。

 

2.ECサイトに期待する効果と目標は?

期待する効果によってECサイトは作り方が変わってきます。実店舗を凌ぐ売り上げの柱にするのか、それとも実店舗をPRするための手段としECサイトからの売り上げはあまり期待しないのかなどを明確にします。

 

3.ECサイトは誰が製作する?

自社で作るのか製作業者に委託するのかを決めます。自社で作る場合、担当者のスキルによっては技術の習得や部分的な外注などを後に検討します。

 

4.コストはどのくらいかけられるか?

ECサイトを製作業者に委託して作った場合の製作費は数十万円以上かかるでしょう。また、ECサイトの設置場所によっては固定費や売り上げに対するシステム利用料がかかります。担当者の人件費や、修正を製作業者へ委託した場合の費用なども必要です。製作や運営にかかるコストを時期ごとに分けて算出し検討します。

 

5.ECサイトをどこに設置するか?

1~4を検討すると、ECサイトを設置できる場所(条件)が明確になってきます。基本的には、楽天市場のような大手ショッピングモールに出店するのか、独自ドメインで単独のECサイトを作るのかを決めます。ショッピングモールに出店しつつ独自ドメインを取得できるサービスや、そもそもECサイトを作らずに商品の出品のみで販売ができるサービスなどもあるため、最適な場所への設置を検討します。

 

6.社内体制は万全か?

今までの業務に対しネットショップ業務が追加されるため、業務フローを見直しネットショップ業務を行う時間を作る事が必要です。また、従業員に担当させる場合、新しい業務となるため教育が必要です。

 

 

■販売戦略

BtoB、BtoCを問わず、ECサイトの作成前はもちろん、ネットショップがオープンした後も継続的にしっかりした販売戦略を策定する必要があります。戦略を立てずにただ商品をECサイトに掲載しただけでは期待した成果は得られないと考えた方が良いでしょう。販売戦略は商品やサービス、会社の規模、出店場所、外的要因などにより異なるため、効果的な戦略を立てるためには東京商工会議所や登録専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

 

 

■まとめ

インターネットショッピングは、顧客との物理的な距離の影響が少ないことや、小さな会社でも大きな会社に負けないようなECサイトが作れること、ショッピングカートにより24時間営業していられることなど、小規模事業者にとって今まで難しかったことを実現できるチャンスがたくさんある魅力的な市場です。市場規模は着実に拡大していますので、この機会にネットショップをオープンして、全国、全世界へ自社商品を発信し売り上げを伸ばしてください。

 

・本コラムに記載された内容は各専門家の意見であり、東京商工会議所の意見を代表するものではありません。
・本コラムに掲載された内容は、執筆者より投稿された内容をそのまま掲載しており、個人の主観的な評価、時間の経過による変化、伝聞が含まれることから、東京商工会議所はその内容の完全性、正確性、安全性等いかなる保証も行いません。