お役立ちコラム

「IT導入補助金」「ものづくり補助金」活用で次世代EDIを導入することのメリット

皆さんの会社では、例えば受発注処理は、どの様な仕組みで行われているでしょうか?FAX・e-メール・伝票でしょうか?もしくは、取引先各社から提供されたWEB-EDIに都度ログインして注文情報に入力する方法でしょうか?
実際には企業間の受発注に関わる処理は幾つものプロセスで構成されていますが、これまではWEB-EDIも含め殆どの処理は人手で対応しており、複数回の入力作業や入力ミスを引き起こす要因ともなっていました。

二社間における受発注の企業間取引プロセス・情報のやりとり(例)
二社間における受発注の企業間取引プロセス・情報のやりとり(例)

昨今、クラウド技術の進展などにより、中小企業でも安く・簡単に導入・活用出来るITの仕組みが出きましたが、2018年3月に受発注処理を司るEDIも中小企業が導入出来る標準版(中小企業共通EDI標準)仕様が策定され、以降複数の共通EDIプロバイダーなどにより、企業間のデータ活用につながる商流EDIのサービス提供が始まっています。
詳細は、ミラサポVol.70でも取り上げられています。
https://www.mirasapo.jp/features/policy/vol70/

実はEDI(Electronic Data Interchange:電子的なデータ交換)の歴史は30~40年程前からあり、1985年の通信自由化以降、VANと言う専用回線を用いた個別企業同士(1社対1社)の仕組みが開発されましたが、高価なことや2社目と接続するには、また同じ手間と資金が必要となり、大手企業の一部に広まった程度と言われています。その後、インターネットの時代が到来し2000年以降にはいわゆる「インターネットEDI」とも言える仕組みが登場しました。これは専用通信回線に代わりインターネットを利用した仕組みでWEBやメールなどを活用した方式が主流となりました。しかしながら、発注者ごとに異なるメールやメッセージフォーマットで受注者側の利便性は全く考慮されない方式でした。また大手企業が自社のためのWEB-EDIと言う仕組みを構築し、取引先に対してログインして注文情報を受け取る仕組みが大手各社で構築されたものの、やはり各社専用の異なる操作方法であり、受注側企業としては複数の取引先別にログインしなければならず、自社の基幹システムにデータ連携する仕組みも乏しく、結局手入力が伴うことなども重なり敬遠されるようになりました。
この様に、大手企業が構築したシステムも自社のすべての取引先に活用して貰う事も難しく、一部はFAXやメールと併用する二重のオペレーションを強いられたり、注文メールをFAX変換事業者を介して、FAX代行させるなど大手企業にとってもコストが掛かる状況が続いてきました。

下請等中小企業の取引改善化の施策

2019年1月9日、中小企業庁より、下請等中小企業の取引条件改善のための下請中小企業振興法第3条第1項に基づく「振興基準」が改正されました。
今回の主な改正点は、サプライチェーン全体での更なる「取引適正化」に向けた取引条件改善のため、望ましくない取引慣行の是正や、「働き方改革」への対応などを踏まえた内容となっています。
この中で、第3項の「下請事業者の施設又は設備の導入、技術の向上及び事業の 共同化に関する事項」において、5)「情報化への積極的対応」に(3)「親事業者は、下請事業者に対し電子受発注等を行う場合に は次の事項に配慮するものとする。」と掲げられ、次の具体事項について明示されました。
①電子受発注等を行うか否かの決定に当たっては、下請事 業者の自主的判断を十分尊重することとし、これに応じな いことを理由として、不当に取引の条件又は実施について 不利な取扱いをしないこと。
②下請事業者に対し、正当な理由なく、自己の指定するコ ンピュータその他の機器又はソフトウェア等の購入又は使 用を求めないこと。
③下請事業者に対する電子受発注等に係る指導等の際、 併せてその経営、財務等の情報を把握すること等により、 その経営の自主性を侵さないこと。
④自己が負担すべき費用を下請事業者に負担させないこ と。
⑤下請事業者が不測の不利益を被ることがないよう、両事 業者間の費用分担、取引条件等について、事前に基本契 約書又はこれに準ずる文書により明確に定めておくこと。
⑥その他政府により定められている電子受発注等について の指針を遵守すること。
これらは、従来からの法律の適用そのものですが、これまでは具体の対応方法が技術的に確立されておらず実現できなったものの、昨年標準化された中小企業共通EDIの登場により、実施策が実現したことによるものと考えられます。

次世代EDI構築に向けた取組み

これまで経済産業省などが中心となり、企業間の受発注業務の効率化を目指し、長年の歳月を掛けて取り組みを進めてきました。

  • 2009年度~2011年度:「中小企業モノづくりの生産性向上に貢献する企業内・企業間データ連携手法」。データ連携調査研究委員会を設置。
  • 中小企業庁汎用EDI開発委託事業で採択された3社が委員会へ参加し、この3社で中小企業共通EDI仕様策定に取り組み。
  • 2009年度:中小製造業100社ヒアリング実施。
  • 紙注文書を入手して中小企業取引EDI化のための基礎データ分析
  • 2012年度:国際標準に準拠した中小企業共通EDI実装仕様v1.0を策定
  • 2016年度:調査研究、実証実験に参加し、中小企業共通EDI仕様拡張版の開発を継続。その結果を中小企業共通EDIメッセージ仕様v3.1へバージョンアップ。

次世代EDIの登場

図.中小企業共通EDIの企業間連携のイメージ
図.中小企業共通EDIの企業間連携のイメージ

これらの成果を踏まえ、経済産業省では、ビジネスの多様化やグローバル化の進展に伴い、業界や国境を越えた企業間情報連携を実現する必要性が高まったことから、2016年11月に中小企業庁実証事業として平成28年度「経営力向上・IT基盤整備支援事業(次世代企業間データ連携調査事業)」を開始。2018年3月末に終了した当該事業の結果では、12の異なる業種の実証において、平均50%の業務効率向上が確認出来ました。これらの実証成果も踏まえ、2018年3月末に「中小企業共通 EDI 標準仕様書(初版)」が公開されました。
従来のEDIとの大きな違いは、次の2点と言えるでしょう。

  • プロバイダー経由で世界中の企業と接続可能なプラットフォームを安価で利用可能
  • メールの様な利便性に加え、専用プロバイダーによるセキュリティを担保

 

自社は、何れかの「中小企業共通EDIプロバイダー」と接続契約すれば、A社ともB社・C社・D社とも受発注データのやり取りが可能となります。

金融EDIとのデータ連携について

ZEDIによる振込・入金時の明細情報のイメージ
図.ZEDIによる振込・入金時の明細情報のイメージ
(出典:一般社団法人全国銀行協会Webサイト)

2018年12月末、全国銀行協会はZEDI(全銀EDIシステム)と言うシステムの稼働を開始しました。これは、振込に関するさまざまな情報(支払通知番号、請求書番号など)を受取企業に送信することを可能にするシステムであり、これまでは、総合振込の際に送信できる「EDI情報」(支払企業から受取企業に伝達するメッセージ)は、20桁までという制限がありました。本システムの稼動により総合振込のデータ形式が固定長形式からXML形式に変わり、実質無限長のデータとして、取引明細情報などを付加できる様になりました。
https://www.zenginkyo.or.jp/abstract/efforts/smooth/xml/

受注企業は、入金情報の明細に、発注企業が添付した当該支払明細を確認することが出来、自社の請求内容と突合することで、売掛金の消込を行う。

事務作業の効率向上に向けて

2018年度、中小企業庁は平成29年度「中小企業・小規模事業者決済情報管理支援事業」に取組んでおり、ZEDIのXML形式のEDI情報欄に請求書番号等の商取引に関する情報(商流EDI情報)を添付した情報と、受注側企業の売掛明細を自動的に突合させる事により、売掛項目の消込処理が自動化できるようになることを検証しています。これが可能となれば、受注企業側での売掛金の消込作業が効率化され、事務負担が大幅に軽減できると期待されます。
http://www.keieiken.co.jp/h29chushokigyo/index.html
これらの詳細記事も、ミラサポVol.79で取り上げられています。
https://www.mirasapo.jp/features/policy/vol79/

まとめ

中小企業共通EDIの導入に際し、共通EDIプロバイダーとの利用契約料などは、FAX通信費とさほど大差ないコストながら、自社の販売・請求処理のシステムなどの機能追加や新規導入には、一定の費用も掛かります。
平成30年度第二次補正予算として公募予定の「IT導入補助金」や平成31年度予算の「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業」の「企業間データ活用型」として、補助申請対象となっており、有効な活用が期待されています。

参考記事

【出典】本資料は本文中に併記した出典情報以外に、以下の公開情報も参照し作成しました。

•経済産業省予算関連情報
http://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2019/pr/ippan.html

•平成28年度「経営力向上・IT基盤整備支援事業(次世代企業間データ連携調査事業)」最終報告書
https://www.itc.or.jp/datarenkei/dlfiles/20180405datarenkei_houkoku.pdf

• 中⼩企業共通EDI標準仕様書(初版)
https://www.itc.or.jp/datarenkei/j_edi/firstedition.html

• 中⼩企業「つなぐIT」WEBサイト
https://tsunagu‐it.com/trade/

• 「つなぐITコンソーシアム」
https://tsunagu‐it.com/cons