ICT活用企業紹介

ターゲットを海外に絞り、SNSでPRしてHPは簡素化

工具・刃物販売会社K社

大工職人や料理人に頼られる刃物販売会社であるK社は、各種電動工具および鍛冶職人の作る日本古来の伝統的な刃物を扱っています。
電動工具は順調な売り上げを保っている中、伝統的刃物は電動工具での代替や、住宅建築が工場で加工した木材を現場で組み立てる技法に変わったことで需要が落ち込んでいました。また、和包丁などの刃物も手軽で安価な大量生産品に押され新規顧客を獲得できずにいました。

まずは自社でやってみようとしたが

伝統的工具や刃物の売上を伸ばすことを目的に、会社や商品を紹介する自社WEBサイトと、ショッピングサイトを担当者自身が新規に製作し公開しましたが、注文や問合せがない状況が続いていました。
担当者はアクセス数を増やそうと他社を参考にインスタグラムとフェイスブックのアカウントを取得して商品を紹介しはじめましたが、従来の業務が忙しいことや、慣れない作業が負担になり、程なく投稿が停止してしまったという状況でした。この時点で伝統的工具や刃物のショップサイトの販売手法について相談がありました。

傾向を把握することから開始

自社WEBサイトとショップサイトのアクセスを確認したところ、売り上げにつながるほどのセッション数は無い事、直帰率が高い事が分かったため、SEOを意識したライティング等も含め全体的な改善が必要ということを伝えました。
一方で、最近、海外からインスタグラムでの問合せの後に実際に会社まで来て商品を買ってくれたことがありました。訪れたお客様に聞いたところ、自社の投稿を閲覧したのではなく、どこかの人が投稿した写真から調べて問合せしてきたという事実が分かり、強い購入意欲がある人達がいる可能性が浮上しました。

担当者の思い

他社で和包丁が訪日客向けに売れていることは知っていたため、自社でも海外販売の可能性は感じていたのですが、問合せは一度きりだったことや海外への販売は言語や支払いに不安が残るので国内の顧客に販売したい気持ちが残っていました。
また、自社WEBサイトとショップサイトについては独学で作ったため、デザインや文言などが納得できておらず、ドメインも含めて全面リニューアルしたいが、従来業務が忙しいためできるだけ手間をかけたくない、しかし、継続して売り続けられる納得できる環境を作りたい、早く売上を伸ばしたいという気持ちが入り混じり、突破口が見えない中で方針を決めかねていました。

できるところから少しずつ実施

まず、いくつかの仮説を立てた中から、最小限の手間で済むという判断のもと、インスタグラムとフェイスブックでの投稿をルーティーン化することにしました。十数品の商品を一度に撮影しておき、数日に一度1品ずつ投稿するのですが、出来るだけ手軽に撮影するため照明や簡易スタジオなどの撮影機材は使わずに、今までの投稿と同じく事務机の上で黒いマットを敷いてスマートフォンで撮影することとしました。投稿時には、文章はインスタグラムとフェイスブックで同一の文言を使うようにし、できるだけハッシュタグに作者である鍛冶職人の名前や刃物の名前を入れ、投稿の半分くらいの割合でハッシュタグに英単語を混ぜるなど、できる時にできることを行っていきました。

問合せへの返信が従来業務を圧迫

投稿を繰り返すと徐々にインスタグラムとフェイスブックからの問合せが増え、日常的に海外へ発送するようになってきました。しかし、問合せ者1名の対応に英文での数往復のやりとりや入金確認などの作業が発生し、慣れない業務であったことから予想以上に時間がかかってしまうなど新たな問題が発生しました。

業務の最適化を決断

海外には強い購入意欲を持つ潜在顧客がいて、インスタグラムとフェイスブックで商品が売れることが分かったため、従来業務への悪影響が発生する前に通販を含めた業務の最適化を行うことにしました。まず、自社WEBサイトとショップサイトは改めて作り直すが、可能な限り簡素なつくりとすることとしました。自社WEBサイトは会社案内と製作者や商品情報に特化させる、ショップサイトは電動工具販売と伝統的刃物販売の2つに分ける、ドメインは新たに「.tokyo」のドメインを取得するというような形が決定しました。
また、当面は集客をインスタグラムとフェイスブックのみに限定する事としました。顧客の入り口をインスタグラムとフェイスブックのみに絞ることで、自社WEBサイトとショップサイトのSEOの改善を当面行わないという大胆な作業時間削減が行えるようになりました。
さらに、中国語の話せる従業員を新たに採用したことで中国へのPRとインスタグラムとフェイスブックの投稿作業の分担ができるようになり、担当者に時間的余裕もできたため、更に売り上げを伸ばせるようになりました。

まとめ

現状、まだ自社WEBサイトとショップサイトのリニューアルは完了していませんが、海外からのインスタグラムとフェイスブック経由での問合せは増え続けています。
どこにどのような需要があるのかを見極め、柔軟に、出来る事を実行することは、中小企業がインターネットを使って売り上げを伸ばしていくためにはとても重要な点だと思います。
「以前はこうだった」という考えに固執せず、柔軟に可能性を探っていきましょう。