ICT活用企業紹介

Windows7パソコンからの移行にChromebookを選択

不動産業 B社

Windows7のサポート終了、皆さんの会社では対応はもうお済でしょうか?

企業で利用されているパソコンの8割以上にWindows OSが搭載されていると言われているのですが、その内の1つであるWindows7のサポートが2020年1月14日に終了となりました。これによって、Windows7についてはPC を保護するための技術的なサポートや Windows Update からのソフトウェア更新が提供されなくなります。ソフトウェア更新、特にセキュリティ更新プログラムが提供されないと、マルウェアへの感染やフィッシング詐欺、情報漏えいといったリスクにさらされ続けることになりますので、当然ですが、Windows7からの移行は必須と言えるでしょう。

条件によっては、Windows7からWindowsの最新バージョンであるWindows10に無償でアップグレードできるケースもありますが、特に長期間にわたって利用されてきたパソコンに関しては、殆どの場合パソコン自体を入れ替えることになると思います。その際の選択肢として、最初に考えられるのはWindows10が搭載されたパソコンを導入することになると思いますが、それだけかと言うと必ずしもそうとは限りません。Apple社が提供するMacやオープンソースのOSであるLinuxをインストールしたパソコンに移行することも、利用者の職種や業務の内容によっては可能です。

そして、もう1つの選択肢として挙げられるのが、Googleが提供するChrome OSを搭載したパソコンに移行することになります。今回は、Windows7からの移行において、Windows10へのアップグレードやWindows10パソコンへの入れ替えではなく、Chromebookの導入を選択した企業の事例についてご紹介を致します。

事例企業の概要

分譲住宅の開発・販売を中心に不動産仲介やリフォームなども手掛けるB社は、会社設立から15年と比較的若い企業ですが、エネルギッシュで才気あふれる社長のもと事業拡大を続けており、業績を大きく伸ばしてきています。
業種:不動産業
従業員数:50名
本社所在地:神奈川県

課題

B社では、2011年に全社的にWindows7パソコンの導入を行いましたが、導入以降、大きな支障もなく利用することが出来た為、それらのパソコンをそのまま長期間にわたって使用し続けてきました。しかし、2020年1月にWindows7のサポートが終了になることや、年月が経ちパソコンのハードウェアのスペック不足の影響で業務上実用に耐えがたい状況も一部には見られ始めたことから、これを機に全てのパソコンの入れ替えを実施することになりました。

パソコンの入れ替えを行うにあたって、社内で検討を行った内容や社長からの指示を踏まえると、次のような点が必要な要件として挙げられたということです。

  • 導入コストは極力抑えること
  • 外出が多い社員(営業職等)にはモバイル型の軽量なパソコンを配布すること
  • お客様の個人情報をお預かりすることから、盗難や紛失時の対策を万全にすること
  • 在宅勤務やテレワークを認める方針であることを踏まえ、端末管理を徹底して行えるようにすること

Windows7からの移行先の選択

検討当初は、全てのパソコンをWindows10パソコンに入れ替える方向で話が進められていましたが、必要な要件を満たそうとすると費用が予算を大幅に上回ることになってしまい、検討内容の見直しが必要になってしまったということです。そうした中で目に留まったのが、Googleが提供するChrome OSを搭載したノートパソコンであるChromebookだったそうです。

Chrome OSは、基本的に全ての作業をブラウザのChrome上で行うことを想定して開発されたOSです。メールのやりとりやドキュメントの作成、業務システムの操作などは、ブラウザのChrome上にて行われます。また、データの大部分は端末内部に保存せず、クラウドストレージ(Googleドライブ、Dropboxなど)に保存する形をとります。

加えて、他のOSと比較すると、次のような特徴が挙げられます。

  • 起動が早く、ハードウェアのスペックが低くても動作が軽快
  • 製品価格が安い
  • セキュリティに強く、データ管理が簡単・安全
  • 運用管理が容易

一方で、基本的にソフトウェアをインストールするという考え方では無い為※、WindowsやMac用に提供されているソフトウェアでChrome OS向けにもリリースされているものは殆どありません。この点が、Chrome OSを業務上で使用する場合に問題となる可能性が高い部分です。

特に、マイクロソフトのOffice(ワード/エクセル/パワーポイント)に関しては、代替となる手段としてGoogleよりブラウザ上で利用する形態をとるGoogleドキュメント/スプレッドシート/スライドが提供されてはいますが、Officeのファイル形式上では100%互換性がある訳ではなく、また高度な機能も提供されてはいません。その為、業務上Officeのファイル形式での作業やデータの受け渡しが必須となる場合は、適用が困難と言えます。
※Chromeウェブストアから入手可能なChromeアプリやAndroid向けに提供されているアプリはインストールが可能になっています。

このようなChrome OSの特性を踏まえて、B社では従業員全員に、業務においてパソコンを使用してどのような作業を行っているかを書き出してもらい、それらがChromebookで利用可能なサービス/アプリで置き換えることが可能かどうかの精査を実施しました。中でも、マイクロソフトのOfficeついては、従業員のほぼ全員が利用していたことから、Officeによって作成されている各ファイルの内容をGoogleドキュメント/スプレッドシート/スライドで置き換えることが可能かどうか、細かく確認を行ったということです。その結果として、社内向けに作成されているOfficeファイルの殆どは置き換えが可能であることが分かったそうです。

また、業務システムに関しては、B社ではこれまでインストール型のソフトウェアではなく、ブラウザで稼働するクラウド型のグループウェアやアプリケーションを積極的に採用してきたことが幸いし、住宅設計用のソフトウェアなどWindowsでしか動作しないソフトウェアを使用している環境を除き、全体の8割程度のパソコンはChromebookで置き換えることが可能であると判断するに至った、ということです。

そうした検討を踏まえて、最終的にB社ではWindowsでしか動作しないソフトウェアを使用する環境や外部とのやりとりでマイクロソフトのOfficeが不可欠である環境はWindows10パソコンに移行することにし、それ以外の環境は全てChromebookに置き換えることに決定しました。営業職など外部持ち出しを頻繁に行う社員にはモバイル型の軽量なChromebookが、社内での業務が中心の社員には据置型のChromebookが配布されました。併せて、Chrome OS端末を集中管理する為に提供されているGoogle Enterpriseサービスを導入し、各Chromebookの管理と利用機能の制御を行うとともに、万一、盗難や紛失があった場合にもデータが外部に漏れることが無いようコントロールすることも実現されました。

結果として、これら全ての総額費用は、当初Windows10の環境に全て移行する場合に見積もられた費用の6割程度に抑えることが出来たということです。また、Chromebookを配布された社員も当社は戸惑いがあったものの直ぐに慣れて、今ではChromebookを使いこなしているということです。起動の速さや動作の軽快さなど、Chrome OSの特性に対する評判が良い為、今後追加で増やしていくパソコンについても、基本的にはChromebookを第一の選択肢にしていく方針ということです。

最後に

日本マイクロソフトが2019年7月に発表した調査結果では、2020年1月時点で764万台のパソコン上でまだWindows 7が稼働していると推計されています。サポートが終了しているOSを利用し続けることは、セキュリティ上非常に危険であり、直ぐにでも対策を講じるべきものです。もし、皆様の会社でまだWindows7が搭載されたパソコンが使用されているようであれば、直ぐに他の環境に移行することをご検討下さい。そして、その際には今回の事例のように、Windows以外の選択肢も視野に入れて、皆様の会社の利用状況にあった最適なパソコン環境は何かを検討いただくと良いでしょう。