ICT活用企業紹介

在庫管理システムの自社製作で悪循環からの脱却を目指す

食品製造業A社

食品製造業A社では麺類を中心とした自社商品を製造・販売しています。
商品は卸の他、工場直売所やネット通販も展開しており、小売りでは複数の商品を自由に詰合せられるセットの販売が人気です。ギフトシーズンには、卸を行っていない少量生産の直売所・ネットショップ限定商品が贈り物として地元の方々を中心にご好評を頂いてます。

いくつ売ったか分からないことから悪循環が発生

直売所とネットショップでは、約50種類ある単品商品を季節や用途によって数種類ずつ予め詰合せにしたセットが商品カタログに記載されていますが、繁忙期には商品を自由に詰合せることができるセットを求めるお客様が増え、店頭やネットショップのバックオフィスでは忙しさやセット内容の複雑さ(自由な詰合せ内容も含む)のため単品商品毎の販売個数を把握できていませんでした。
販売個数や在庫数が不明であることは、製造予定にも影響したり、大口顧客への納期回答も曖昧になるなど悪循環を生んでいました。

改善範囲を限定してシステムを自社で試作することに

直売所では、電話、FAX、メール、カタログの注文用紙に手書き、お客様独自のフリーフォーマット注文用紙の持参、店頭での口頭注文など、様々な方法で注文が入ります。それをシステムに入力するため、一旦、手書きの注文用紙に従業員が手書きで転記するなど独特なオペレーションが行われていました。
漏れなく販売個数を把握するためには複雑さを解消するような改善を行うべきなのですが、現状では混乱を引き起こすだけと判断し、ひとまずネットショップでの販売個数のみを管理するシステムを試作することにしました。

クラウド型データベースで在庫数を管理

システムはクラウド型データベースを使用し、ネットショップの受注データのCSVファイルを読み込んで、注文内のセット内容を単品商品に分解してデータベース上の在庫数に反映するというシンプルな作りとしました。
単品商品やセット商品をマスターに登録する際、現在使用していない商品コードや、二重に管理されていたり統一性が無いなどの商品コードの整理が必要であることが分かり、今後の課題となりました。

「管理」は「手間」か

システムを作り運用した際に発生する在庫数を数えたりネットショップの受注データを取り込んだりという作業に対し、現場から反対の声が上がりました。
そこで、安価なRPAを導入し、受注データのCSVファイル読み込みや、今まで一人分ずつ手作業行っていた発送伝票や納品書の印刷などの定型作業の一部をロボットに行わせることで、作業時間の相殺を実現しました。

まとめ

今回の改善は「できるところから」「できることを」という他に「できるという事を体験」するという要素も大きいものでした。
旧態依然とした手法は、その全てが良くない事という訳ではないですが、非効率な部分が増えている状態では「慣れているから今までのやり方が良い」という考え方の一歩先が必要であることを従業員に理解してもらい、より良い環境を実現していくことが重要です。
クラウド型データベースや安価なRPAは「できるという事を体験」することができ、改善に前向きな環境を作るきっかけとして非常に有効なツールであり、様々な中小企業の多くの悩みを解決できる優れたツールであると思います。