ICT活用企業紹介

ICT活用で受注業務を刷新し顧客満足度の向上と働き方改革を実現

BtoBサプライ販売業 M社

当社は、主にサプライ用品を企業向けに販売している。迅速な配送、豊富なアイテム、細やかな対応等で顧客から一定の評価を得ており、既存客のロイヤリティが比較的高いというのが特徴である。

ただ、一方で件数の多い受注や問い合わせの対応に苦慮し、しばしばミスが発生していた。その結果顧客にも迷惑を掛け、ロイヤリティが失われかねない事態に陥っていた。また、非効率な受注業務により、業務の担当者は長時間労働を強いられ、それが、さらなるミスを誘発する状況でもあった。

まずは、Webサイト(オーダーマネジメントWeb)を構築してみることに

このような悩みを抱える中、まずは受注業務全般に対応したWebサイトを構築し、顧客の利便性を高めて顧客満足度の向上を実現するとともに、自社の受注業務の負担軽減による働き方改革の実現も目指した。

現在の受注業務担当にとっては、問い合わせ対応が非常に大きな負担となっていた。問い合わせ対応業務は、その大部分を納期回答が占めている。大きな負担となっている原因として、現在の仕組みが業務のニーズに合っていないという点を指摘する声が挙がっていた。

現在の仕組みでは、在庫があっても、既に受注済みで出荷待ちとなっている数量等が正しく反映されないので、受注業務担当者は、大量に在庫がある場合を除き、在庫水準や出荷待ち受注等を調査することなどに時間を取られていた。また、欠品している場合には、補充のための発注や入荷状況まで確認する必要に迫られることもあり、さらに時間を取られるという状況であった。
ただ、その調査中にも状況が変化し、せっかく調べたのにもかかわらず、情報の信ぴょう性が低く、顧客の満足度は低下しつつあった。

さらに、受注入力業務自体が非効率でるあることも大きな問題だった。例えば、同じ顧客からの同じ商品についてのリピートオーダーであるにもかかわらず、過去の注文時の情報が活かされず、以下のような仕組み上の問題を抱え、その結果、顧客満足度の低下と作業効率の低下に繋がっていた。

  • 以前の注文の単価が分からず、毎回単価の入力を求められる。また、過去注文と単価が違っても警告もなしに登録ができてしまう。
  • 過去注文と注文数量が大きく違うのに、警告もなしに登録できてしまう。

このような状況を改善すべく、「受注業務刷新プロジェクト」を発足し、ICTを活用して受注業務を刷新することを目指すことになった。
そして、具体的な目標を以下のように定めた。

受注業務刷新プロジェクトの目標

  1. 顧客からの問い合わせ件数の半減
  2. 受注業務の担当者の残業時間の半減

目標を達成する為に、まずは、注文管理用のWebサイト(オーダーマネジメントWeb)を構築し、顧客向けに提供することにした。そのサイトで顧客向けに提供する主な機能は以下のとおりである。

オーダーマネジメントWebで顧客向けに提供する機能

    1. 注文入力時、自分達の過去の注文を検索し、検索結果をテンプレートとして入力できる機能を設ける。

・その際、過去注文時と単価が違う場合には警告する
・数量が設定した倍数を超える場合も警告する

    1. 精度の高い納期照会機能を設ける

・入荷予定や納品日などを考慮した精度の高い有効在庫(※本コラムでは詳細は割愛します)により、より確実性の高い納期を確認できるようにする
・納期確認後、そのまま注文できる機能も設ける

一部の大口顧客向には、AI-OCRを活用することに

オーダーマネジメントWebによって、顧客満足度の向上と業務効率の改善が見込めることは明らかだったが、主に利用してくれるのは、比較小規模、若しくは取引件数の多くない顧客だろうと想定していた。いくつかの顧客、特に一部の大口の顧客はオーダーマネジメントWebを使ってくれそうもなかった。

というのも、それらの大口顧客は自前のシステムで発注する仕組みを有しており、当社への発注もその仕組みで行っていた。その場合、発注は、システムから出力される発注書をFAXで送ってくるケースが多い。
彼らにとっては、オーダーマネジメントWebを使うことは却って非効率であり、また、折角システムに発注データがあるのだから、発注データを送って欲しいと要請することは可能だったが、その場合、システム改修コストの負担をどうするかといった新たな問題が発生する。

そこで目を付けたのが、AI-OCRである。AI-OCRは、かつてのOCRと違い、学習によって読取り精度を向上させることができる。多くはクラウドサービスとして提供されているが、サービス提供時点でたくさんのドキュメントを読取って学習済みなので、サービス利用開始時点から高い読取り精度を期待できる。

このAI-OCRを先に挙げた大口顧客からの発注書に適用することで、書面の発注書をデータ化することができ、書面を見ながら受注入力する手間の大幅な削減を目指した。これで、オーダーマネジメントWebを使ってくれない大量の注文をさばく道筋も見えてきた。

オーダーマネジメントWebとAI-OCRの活用によって目標が達成できた

ICTを活用した上記のような対策を実施し、「受注業務刷新プロジェクト」は無事終了し、現在は順調に運用を継続している。

運用開始当初は混乱もあったが、「顧客からの問い合わせ件数の半減」と「受注業務の担当者の残業時間の半減」という2つの目標はいずれも達成できた。ICTを活用して実施した対策が適切だったことを改めて確認できた。

ICTを活用した対策を実施する前は、顧客の満足度は低下しつつあったが、実施後は、アンケート調査からも満足度が向上している様子がうかがえた。また、実施前は、問い合わせ対応の負担が大きなストレスになっていた受注業務担当者の仕事も、実施後、状況は大きく改善し、仕事へのモチベーションも上がって、働き方改革にもつながった。

以上、今回の受注業務刷新のための「オーダーマネジメントWebの構築」と「AI-OCRの活用は」は、大きな成果を残した。今後は、さらに後方の業務も刷新し、さらなる生産性向上を目指す予定である。