ICT活用企業紹介

複数の目的に応じたホームページで店内売上と店外売上をアップした餃子店

餃子専門店 A社

餃子専門店を静岡県浜松市で展開するA社。浜松と言えば、誰もが知る餃子の街である。
この街には多くの餃子専門店があるが、A社は、後発ながらも最近メキメキ頭角を表し、繁盛店として知られるようになった。
同社はネット活用にも力を入れており、ただホームページを公開するだけでなく、複数の目的に応じたWeb活用で、店内の売上はもちろん、店外売上のアップにも繋げている。今回は、このA社のWeb活用事例を紹介する。

飲食店のホームページはマスコミ向けに作る

「飲食店のホームページはマスコミ向けに作る」という考え方を筆者は、いろんなところで伝えているが、この考えが当てはまる業種は飲食以外にも多くあるだろう。
特に飲食店の場合は、マスコミが取材先を探すときにネット検索で目星をつけることがほとんどである。その際、大手グルメサイトを見て取材先を決めることは少なく、店舗の公式ホームページを必ず確認して取材候補にする。なぜなら、大手グルメサイトは、画一的で店らしさや他店との差別化、店の雰囲気・世界観を出しづらいからだ。

A社のホームページもマスコミ取材を呼び込めるように意識して設計し、店のコンセプトやこだわり、他店との差別化や特徴を写真と共に分かりやすく説明している。

もちろん、マスコミに取材されるためには、A社の店舗コンセプトやイベントが、そのマスコミの「特集」のテーマなどに一致しなければならない。また、必要な時にプレスリリースを流すことも必要だ。
A社も店がオープン時やイベント情報などを地元のマスコミにプレスリリースを流し、取材されるよう努力した。その結果、ローカル誌や静岡県近辺で放送されるテレビで取材されるようになった。

実は、マスコミの取材を呼び込むためにもうひとつ大切なことは、マスコミに取材された事実をホームページに掲載することである。なぜなら、マスコミは、「あのテレビ局で取材されたのであれば、この店は信頼できる店だ」という判断もするからだ。
A社のホームページも取材された事実を掲載している。現在では、マスコミがマスコミを呼ぶ「マスコミスパイラル」が起き、静岡県内に留まらず、全国放送のテレビ番組や雑誌など、68回もマスコミ取材がホームページに掲載されている。その結果、店内の売上アップはもちろん、次に話す通販など店外の売上アップにも相乗効果がでている。

全国区のテレビ番組に取材された時に売り逃しをしない待ち伏せ通販サイト

A社はオープンして間もなく、月額数百円の安い通販ASPシステムを利用し、お金をかけずに簡単な餃子の通販サイトを構築した。
飲食店にとって一番手をかけないといけないのは店の現場であり、目の前のお客様であるが、私は、A社はいつか全国区のテレビ番組に取材されることを予想し、最低限の通販サイト構築を提案した。通販サイトの売上を上げるための積極的なプロモーションは全くせず、全国区のテレビ番組で紹介された際のお取り寄せ需要に対応するための放置系待ち伏せ通販サイトである。

通販サイトを構築して2年間、月に数件の注文しか来なかったのだが、マスコミの取材が多くなるにつれて、月の売上が10万円〜20万円ほどになった。
そして、圧巻だったのが、2015年1月6日、某人気タレントのゴールデンタイムの全国区のテレビ番組に大きく取り上げられた時だ。その瞬間から、通販サイトに注文が殺到。今までの月の最高売上時注文数の13.3倍(それまでの平均注文数で比べると33.3倍)をたった一晩で受注した。まさに手間を掛けない待ち伏せ通販サイトで、一気に大きく売り上げたのだ。
その後も、通販サイトのプロモーションにはまったく手間をかけていないが、それまでの繁忙期の注文数と同等の注文数が通常月で受注できるようになり、マスコミに紹介された時は注文が跳ね上がるという形で店外売上に貢献している。

ホームページをスマートフォン最適化し観光客に店に来てもらう

A社のホームページは、2014年3月にリニューアルするまで、スマートフォンで閲覧はできるのだが、PCのホームページとして閲覧できる形だった。
もともと浜松は県外から餃子を求めて観光客が訪れる立地である。A社も有名になるにつれて、来店する前にホームページを見るお客様が増えてきた。しかし、GoogleAnalytics でモバイル端末からのアクセスを分析すると、セッション数に対するモバイルの割合が52.2%、ページビューに対するモバイルの割合が47.2%とそれほど多くなかった。

ちなみに、比較をするために、今、手元にある他の飲食店のGoogleAnalyticsのデータを紹介するが、A社の店舗と同様、県外からお客様が来る千葉県の居酒屋では、セッション数に対するモバイルの割合が64%、ページビューに対するモバイルの割合が58%、同じく地域以外のお客様が多い秋葉原のハンバーグ店では、セッション数に対するモバイルの割合が60%、ページビューに対するモバイルの割合が56%である。その店の地域の顧客が多い阿佐ヶ谷の居酒屋の場合、セッション数に対するモバイルの割合が41%、ページビューに対するモバイルの割合が44%である。つまり、A社は、モバイルでホームページを見る需要があるにも限らず、モバイルのアクセスがそんなに多くなかったのだ。

そこで2014年3月に観光客が車の中で浜松餃子の店を探したときに、A社の店舗を選んでもらうことを目的にスマートフォンに最適化したホームページとしてリニューアルした。
その結果、モバイル端末からのアクセスは劇的に改善し、リニューアル前1年間の数値とリニューアル後1年間の数値を比べると、セッション数に対するモバイルの割合が52.2%→68.1%、ページビューに対するモバイルの割合が47.2%→60.6%となった。
なお、同期間のセッション数とアクセス数を比較するとマスコミ効果もあり、セッション数が5.13倍、ページビューが2.94倍伸びている。

グラフ2

同店は、オープンして5年経つが、今では行列の絶えない超繁盛店となっている。直近1ヶ月のセッション数に対するモバイルの割合は、なんと81%、ページビューに対するモバイルの割合が76%となり、確実にスマートフォンに最適化されたホームページが観光客の集客に結びついている。

目的を明確にした上でホームページと現場がうまく連携すると売上に繋がる

これら以外にも、百貨店やイベントなどで餃子を売る『催事』の仕事の依頼を増やすために催事ページを作り、催事情報を充実させた。
今後の催事出店予定と過去の催事の様子を紹介するなどして、催事を企画する会社からの問合せ増に結びつくことを想定している。
ホームページだけが要因ではないが、A社の催事は、今まで年に3〜4件だったのが、今年はすでに11件となり、店外売上に貢献している。
また、他の飲食店に餃子を卸す「業務用餃子」を販売するためのページも作り、飲食店から順調にお問合せがあり、業務用餃子の売上も伸びている。

ホームページはあくまでもツールであるが、このように何のためのホームページを作るかという目的を明確にした上で、ホームページと現場がうまく連携すると、売上アップに結びつくという結果になることが多い。
あなたもこのような観点で一度ホームページを見なおしてみたらいかがだろうか?