ICT活用企業紹介

販売・顧客データの分析により売上拡大を実現

食品・製造販売A社様

数年前からの「ビッグデータ」ブームに始まり、現在では「IoT」や「AI」がITのトレンドワードになるなど、大企業におけるデータ活用が加速しています。一方で、ビジネスにデータを活用することを「規模の小さいうちには関係ない」こととして捉えている中小企業が多いのも事実です。実際は、多くの中小企業が既に十分なデータを保有しているにも関わらず、活用できる仕組みが整っていないことや、活用の仕方が分からないことで、その恩恵を得られていないのです。本事例では、蓄積した顧客・販売データを分析し、得られた知見を活用することで売上の拡大を実現している企業をご紹介します。

事例企業概要

蒲鉾などの海産物を中心に製造・販売を行う株式会社Aは、神奈川県内で実店舗を8店舗構えるととともに、カタログやオンラインショップによる通信販売を行っています。

業種:食品製造・販売業

従業員数:150名

本社所在地:神奈川県

経営課題

当社は、大正創業以来、素材から仕上げまで丹念に造り上げる「こだわり」の味づくりを続け、地元を中心に多くのお客様に親しまれてきました。しかし、消費者の嗜好の多様化や競合企業との競争の激化などにより、売上の伸び悩みに苦しむとともに、従来の経営のあり方そのものを見直さなければならない時期にきていました。当社は、長年に渡って培ってきた伝統を重視するあまり、顧客が何を求めているのかを十分に把握しないまま、経験と勘に頼った販促活動や商品開発を行っていたのです。そこで、これまでのやり方を変え、正確なデータをもとに適切な意思決定を行うことを今後の方針として定め、その第一歩として、商品毎の売上や顧客の購買行動を分析し、その結果を販促活動に反映させる取組みを開始しました。

POSシステムの導入とデータ分析環境の構築

当社が最初に行ったのは、各店舗にPOSシステムを導入し、ネットワーク経由で単品単位の販売実績データを収集・集計することでした。それ以前は、各店舗にて集計された売上情報が定期的に報告されるのみで、リアルタイムに販売状況を把握することは出来ない状態にありました。POSシステムの導入により、店舗毎、並びに商品毎の売上状況の把握が即日可能になりました。次に、POSシステムから収集された販売実績データと、通信販売経由で商品を購入いただいた顧客の属性データ、及び販売実績データを1つのデータベースに格納するとともに、データ分析用のツールを導入することでデータ分析用の環境を整えました。
システム図

分析から得られた知見を施策に反映した結果、売上が拡大

蓄積された顧客・販売データを分析していくと、累積購買金額上位20%の顧客により、全体売上の60%以上が構成されていることが判明しました。これを受けて、これらの優良顧客に対しては、季節毎に商品カタログを送付したりDMの送付に合わせて割引クーポンを提供したりするなど優待サービスの強化を図りました。また、店舗によって商品の販売傾向が少しずつ異なることが分かった為、各店舗において、それぞれの売れ筋商品が目につきやすいよう店内レイアウトの変更やPOPの作成を行いました。

 

このように、顧客・販売データを分析する事で得られた知見を販促活動に反映させていった結果、売上は増加傾向に転じ、データ分析を開始してから2年後には、売上高20%アップを達成することが出来ました。A社では、データ分析による効果を実感し、以降継続して顧客・販売データの分析を行っているとともに、顧客からのアンケート結果や電話での問い合わせ内容など、分析対象の範囲を広げてきています。

まとめ

多くの中小企業では、日々の業務を遂行する中で、様々な顧客データや販売データが蓄積されています。それらのデータからは、販促活動や商品開発に有益となる様々な知見を得ることが可能です。最近では、データ分析を行う為に必要となるITツールは、非常に安価になってきており、中には無料で利用出来るものも存在します。それらを上手に利用して、自社の事業活動の中にデータ活用を取り入れていくことが、今後中小企業にとっても求められていくものと考えます。