ICT活用企業紹介

Eラーニングシステムの導入と人財育成

情報サービス業(A社)

東京都内で情報システムの開発・保守・運用を担うA社では、プロジェクトに携わる要員の定期教育として、Eラーニングシステムを導入した人財育成を行っています。本事例ではEラーニングシステムの導入に至る経緯と、効果的な活用方法について紹介いたします。

1.背景

(1)外部環境要因(法改正):2015年9月30日に施行された労働者派遣法(改正)に伴い、労働者派遣事業を営む派遣元事業主の講ずべき措置として「段階的かつ体系的な教育訓練等」のキャリアアップ推進の措置が義務付けられることとなりました。派遣元事業主は「派遣労働者の育成」という役割が法改正によって求められています。【※補足1】

 

(2)内部環境要因(仕事の属人化):ITシステムの開発・保守・運用として必要な手順書(作業マニュアル)がある程度整備されているものの、プロジェクトに携わるベテラン要員の離職等を契機に、特定業務での作業品質が低下するという事象が発生しています。

2.要因の解析

(1)外部環境要因(法改正):「派遣労働者の育成」として「段階的かつ体系的な教育訓練等」の体制やルール等の仕組みが整備できていない為、組織として検討が必要。

 

(2)内部環境要因(仕事の属人化):「OJT(日常業務での教育訓練)」または「OFF-JT(職場外での教育訓練)」が組織として体系立てて整備されていない状況の為、プロジェクトに新規で参画する要員の教育が場当たり的な対応となっている。また一部の業務では特定社員に対する業務負荷や依存度の高い状態が慢性的に続いており、担当内でのOJTが滞っているため、特定業務等の作業を遂行する為に必要な教育が進んでいない。

3.施策の検討

A社の事例では、「段階的かつ体系的な教育訓練等」の体制とルール等の仕組みを確立するとともに、「OJT(日常業務での教育訓練)」における負荷の軽減を目的として検討を進めていった結果、主たる施策として「Eラーニングシステムの導入」を採用しています。

4.Eラーニングシステムの選定

「Eラーニングシステム」のキーワードでインターネット検索を行うと、様々な企業の製品やサービスを確認することができます。自組織の資産としてサーバー機器を準備して、Eラーニングシステムのソフトウェアをインストールしたうえで利用する「オンプレミス型」と、インターネットを介してEラーニングシステムの各機能を利用する「クラウドサービス型」を選択肢として検討することができます。

 

A社の事例では、派遣先のお客様プロジェクトで業務を担う自社社員だけではなく、自社主体で管理を行うプロジェクトの協力会社社員(パートナー)に対しても、情報セキュリティ等の定期教育を自社社員と同様に実施をしたいとの要望がありました。

「クラウドサービス型」のユーザーID単位で月額で金額が変動するクラウド価格ではなく、「オンプレミス型」で一定のユーザーIDを利用できるパッケージ価格(初期構築費で永続利用)でのEラーニングシステムの選定と導入に至ります。

5.標準化と管理の定着

各社製品によって細かな機能面での仕様差異はありますが、採用したEラーニングシステムでは「動画、スライド、テスト、アンケート」等の機能を有しており、教育コンテンツの作成時にこれらの機能を利用することができます。

 

例として、教育コンテンツの作成者は、Microsoft社製品のパワーポイントで作成した教育資料のファイルを準備して、Eラーニングシステムの機能を介してWEB画面上で表示されるスライドへと簡単な操作でデータ変換を行うことができます。教育受講者に対しては、メール通知機能で、作成したWEB教育コンテンツの受講案内を配信することができます。

 

教育受講者は、Eラーニングシステムからスケジュール設定で自動配信を行うことが可能な教育コンテンツを、日勤や夜勤等の変則的なシフト勤務であっても、受講期間内であれば自由な時間帯に教育を受講することができ、テストの実施によって、一定水準の教育結果に到達するまで繰り返し受講することができます。

 

管理者は、教育の受講履歴やテスト結果等を管理者用のWEB画面より確認することができる為、組織として「若手、中堅、管理者」向け等の階層別に教育コンテンツを整備することによって、体系的な人財育成の仕組みを組織として確立することができるようになります。

6.効果の確認

「段階的かつ体系的な教育訓練等」の体制やルール等の仕組みを確立することによって、プロジェクトに参画する要員に対して、受講してもらいたい教育コンテンツを体系立てて配信することができるようになります。これはプロジェクトに新規に携わる要員だけでなく、既にプロジェクトに参画している要員に向けた定期教育としても効果的な方法です。

 

Eラーニングシステムの導入効果としては、数回にわたって集合研修形式で定期開催をした場合、講師や受講者の日時調整等の対応工数が都度発生しますが、Eラーニングシステムでは、教育コンテンツを整備していくと、一定の品質で繰り返し教育を実施することができる為、組織が成長して規模が拡大するにつれて、導入効果が得られ易くなります。

7.まとめ

情報サービス業(A社)におけるEラーニングシステムの導入と人財育成に関するICT実践事例を紹介しておりますが、これは様々な業界や業種において応用可能な事例です。

技術情報やノウハウ等を動画や電子資料として整備する事によって、関係者と「場所(複数拠点)」や「時間(スマートフォン等からの確認)」を気にせずに、事業活動に必要な人財育成の仕組みを創りあげることが可能です。是非、皆様も実践して成果を上げて下さい。

 

【※補足1】「派遣労働におけるキャリアアップ支援の手引き」
出所:平成27年度厚生労働省委託事業 一般社団法人日本人材派遣協会(平成27年10月)

http://ckss.jassa.jp/career_download/pdf/151112tebiki.pdf