ICT活用実践企業紹介

フリーランスのための「自己集客システムの第一歩」

財務コンサルタント業D社

企業概要

当社は、創業5年目の財務コンサルタント業である。代表のD氏は、元々金融機関出身ということもあり、財務改善の専門家として、経営セミナー・コンサルティングなど全国津々浦々を忙しく飛び回っている。

 

新事業開発にも非常に熱心で、最近では金融機関・公的支援機関との連携を組んで、小規模事業者や中堅企業の資金繰り改善・補助金や融資支援なども積極的に取り組んでおり、経営革新認定支援機関としての業務範囲も着実に広げている。

実は、「紹介依存」こそが悪循環を生み出していた

そんな多忙のD氏だが、以前から深刻な悩みがあった。それは「紹介依存体質による悪循環」である。現在の受注の殆どが、研修会社・金融機関・公的支援機関などからの口コミや紹介である。従って研修会社からの紹介であれば「概ね4月~6月の年度初め」、銀行・商工団体からの紹介であれば「概ね12月~2月年度末」に業務が集中しやすい。もちろん紹介自体は、信用によるもので評価できるものの、現状のD社は「紹介依存」までになっており、「7月~11月の閑散時期」の売上を補填するために、繁忙期の引合いを全て受注せざる得なくなっている。その結果としてオーバーワークで体調を崩してしまい、最悪の場合、連携先の信用を無くすという悪循環に度々陥っていた。「紹介に頼らずとも直接受注できる自己集客システムさえ作ることができれば、今のようなムリしなくて済む」というのが、D氏の悩みであった。

活用できなければ、宝の持ち腐れ

ただ「直接受注できる自己集客システムをつくる」といっても、今までの紹介依存でやってきたD氏にとっては容易な話ではない。創業当時からその必要性を感じながらも日々の業務をこなすことで心身もいっぱいだったため、なかなか行動できないままであった。

 

ところがD氏の業務分析をしたところ、毎年300枚近くの名刺交換をしており、既に1500枚以上の放置された名刺があることが明らかになった。しかもその殆どが交換してそれっきりになっているものばかりで、まれに後日に問合せや相談がくることがあったが、そこから自力で受注に繋げることができないままでいたのである。これはまさに「宝の持ち腐れ」である。

「自己集客システム」は「リストづくり」から

そこで、「直接受注できる自己集客システムの第一歩」として、「既存の1500枚以上の名刺をリストデータ化すること」と「今後も増え続ける名刺も全てリストとしてデータ活用できるようにすること」を取り組んだ。

 

リスト化の基本は、初回面談後に

  1. まず「すぐ登録」する。決して溜めこまない。
  2. 次に「3日以内」に礼状を出す。
  3. 更に「10日以内に」に礼状の他に「2回」は、接触できるようにする。

である。しかし、D氏のような多忙な専門家が、これら全ての作業をその都度手動で行うことはよほどの気力とタスク管理力がないと殆ど実行できない。そこで、リスト管理用のITツールを利用して、それほど工数をかけなくても、「定期フォローができるもの」を峻別した。

 

具体的には、

  1. 帰宅前に「World Card Mobile(※1)」の精度高いスキャンを使って、「名前、住所、電話番号、メルアド」などを簡単登録。(Gmailアドレスとして自動同期される)
  2. 上記によって登録されたメルアドと予め設定した「礼状の定型文」をGmailから呼び出す。
  3. 「Right Inbox for Gmail (※2)」 もしくは、「アスメル(※3) 」 を使って、礼状が見てもらいやすい「3日以内の午前中」の自動メール送信に設定しておく。
  4. 予め設定して「メルアド」と「情報コンテンツの定型文」の紐づけを行い。「2回目、3回目、そしてそれ以降」の自動メール送信を設定しておく。

つまり「簡単リスト登録、自動配信の仕組みづくり」をおこなったのである。
この中で最も重要なのは、「定型文・メルアドをすぐ登録する」という点である。それさえ行っておけば、上記のITツールが「適切なタイミング」で「適切なコンテンツ提供」を見込客に自動的に行ってくれるのである。

 

※1:名刺認識管理アプリ。文字認識精度が高く、Gmailアドレスとすぐ同期する。
※2:Google chrome拡張アプリ。指定日時メール送信、繰り返し機能有り。
※3:ステップメール配信サービス。顧客ランク別に計画的にメール送信ができる。

ITツールでビジネスモデル変革が可能に

D氏も「ITツールの操作」や「定型文・メルアドをすぐ登録するという癖付け」には、最初は抵抗があった。しかし意外に簡単にできる操作と、実際の見込客からの問い合わせが徐々に増えていったことを契機に、「面倒くさい…」という小言から「これは面白い!」という言葉に変わっていった。

 

今では約1,500件以上の「D社独自のハウスリスト(※4)」ができ、自己主催の有料セミナーでも、数名であれば容易く集客できるまでになった。

 

「今までは、最初から自己集客を諦めて、紹介依存で非効率な仕事ばかりしてました。最近は自身でも集客ができる自信がつきましたので、これからは直接販売の売上シェアを積極的に増やしていきたいと思います。」と意気込むD氏。

 

ちょっとした「ITツールの利活用」と「癖付け」で、自己集客システムの取っ掛かりを掴み、今後のビジネスモデル変革を目指しているD社。今後の活躍が益々楽しみである。

 

※4:イベントやWeb、営業活動により集めた企業で保有する見込み客情報や顧客情報、アプローチリストなど。

財務コンサルタント業D社

野村忠史野村 忠史(のむら ただし)

ナインソーツコンサルティング株式会社 代表

1971年生まれ。販売力強化コンサルタント。中小企業診断士。

営業会社入社後、最下位スタートであったが、独自ノウハウを構築し、1年後に200人のトップに。さらに80人中3人選出の最優秀賞に、新人2人を受賞させる。

その後、13年間あらゆる業種業態で一貫して営業職と勤め、常に上位10%にキープ。

経営コンサルとして独立後は、あらゆる業種業態に再現できる「売れる仕組み」を独自に考案し、2014年ナインソーツコンサルティング(株)を設立。

年間100件以上のコンサルとセミナーを通して、全国各地の中小企業の販路拡大・販売力強化支援を行っている。

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