ICT活用企業紹介

キャッシュレス決済サービスの導入により顧客満足度の向上を実現

飲食店 I社

キャッシュレス決済

東京オリンピックの開催を翌年に控えた2019年において、新聞やテレビなどのメディアで見かけない日はないというほどのキーワードになっているのが「キャッシュレス」です。決済事業者による高額キャッシュバックキャンペーンや消費税10%引き上げに伴う景気対策としてのポイント還元策など、何かと話題には事欠きません。現金主義が根強く残っているといわれる日本ですが、2019年はキャッシュレス化が一気に進む年になりそうな勢いです。

キャッシュレス化の柱となる決済サービスは、クレジットカードや電子マネー、デビットカードに加え、新たにQR決済が登場するなど多様化が進んでいますが、その一方で導入する側の実店舗事業者の中には「費用がかかる」「何から始めたら良いのか分からない」などを理由に、導入に二の足を踏まれている方も多いようです。国を挙げて加速するキャッシュレス化の流れの中では、キャッシュレス化に乗り遅れることで機会損失を被らない為にも、各店舗の状況に合った決済サービスの導入を検討することが不可欠な状況と言えるでしょう。

今回は、そのようなキャッシュレス化の流れやインバウンドへの対応をふまえてキャッシュレス決済サービスの導入を行った飲食店の事例をご紹介します。

事例企業の概要

東京都内でイタリアンレストランを運営するI社は、イタリアでの修行経験もあるオーナーシェフのもと2000年にお店をオープンしました。アットホームで隠れ家的な雰囲気のある店内で本場さながらの味が楽しめることが評判となり、近隣の住民やビジネスマンを中心に多くの常連客を獲得しています。

レストラン
※画像はイメージです。実際の店舗とは異なります。
業種 イタリアンレストラン
従業員数 4名
本社所在地 東京都

経営課題

当店では、お店の開店以降、最近までアナログのレジスターを利用し現金払いのみで支払いに対応していました。決済手数料や入金サイクルの長さが懸念となり、クレジットカード決済などの導入は長い間見送ってきていたのですが、長年付き合いのある常連客の来店が中心であったこともあり、支払いについて支障が出ることはこれまで殆どなかったそうです。 そういった中、最近になって当店があるレストラン格付け本に掲載されたことがきっかけとなり、新規のお客様の来店が大幅に増えてきました。また、SNSなどで自然とお店の情報が広まり、外国人のお客様の来店も増えてきたそうです。そういったお客様からは、「クレジットカード使えないの?」「電子マネーで支払いできますか?」といった声を聞くことが多くなり、現金払いのみの対応ではお客様の満足度に影響をきたすとI社のオーナーは強く感じるようになったそうです。 このような状況を改善する為、I社ではコンサルタントにアドバイスを仰ぎながらキャッシュレス決済サービスの導入を検討することになりました。

キャッシュレス決済サービスとタブレット型POSレジシステムの導入

キャッシュレス決済サービスの導入を検討する過程において、I社が最初に決める必要があったのは、導入する決済サービスの種類でした。キャッシュレス決済サービスは現在、多数のサービスが乱立している状況にありますが、決済の種類によって大きく分けると、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QR決済の4種類になります。I社では、客単価やこれまでにお客様からいただいた要望などをふまえて、クレジットカード、電子マネー、そして来店数が増えている中国人向けのQR決済サービスの3種類の導入は不可欠と判断しました。 次に、複数の決済サービスを比較するにあたり、初期費用やランニングコストを抑えられることがもっとも重要と考え、以下のポイントを比較項目にすることとしました。

  • 決済端末の導入費用が安いこと
  • 決済手数料が安いこと
  • 入金サイクルが短いこと

各種決済サービスの比較を進める中で、3種類の決済サービスを個別に選択しそれぞれ導入するよりも、複数の種類の決済サービスをまとめて提供するサービスを利用した方が会計時の手間や売上集計の観点からも楽であることが分かってきました。その結果、そういったサービスを提供する会社の中からI社が比較項目で最も重視した、入金サイクルが最も短い(月の入金回数が最も多い)サービスを選定し、導入することにしました。 また、キャッシュレス決済サービスの導入にあわせて、現金払いと現金以外の支払いの集計の手間を省くために、これまで使っていたレジスターの使用を止め、キャッシュレス決済サービスとの連動が可能なタブレット型端末によるクラウド型のPOSレジシステムに切り替えることにしました。 支払いイメージ

導入効果

I社では、クレジットカードや電子マネーを利用できるようにしたことで、お客様の満足度が上がったことを実感されています。これまで現金払いのみで支障がなかった常連のお客様の中にも、キャッシュレス決済サービス導入後はクレジットカードや電子マネーで支払いを行う方が2割程度おられるということで、それらのお客様のリピート回数の増加にもつながっているそうです。また、これまではどうしても給料日前には売上が落ち込んでいたのが、決済サービス導入後はそれまでよりも売上の落ち込みが緩やかになったということです。現金以外の支払手段を提供したことが、来店動機につながっていると想定されています。 また、中国からの旅行者の来店も増えているということです。中国で利用されているQR決済がそのまま利用できることは、お店の選択にも影響を与えているようです。中国ではキャッシュレスでの支払いがあたり前のようになってきていますので、旅行先で現金しか使えないことは両替の手間などと併せてストレスに感じられているのかもしれません。 加えて、導入前の懸念材料であった決済手数料の負担についても、現在は売り上げの伸びによって十分カバーが出来ているということです。顧客満足度の向上と売上高の向上の両方を実現できたことを考えると、I社にとってキャッシュレス決済サービスの導入は十分成果があったと言えます。

まとめ

今回の事例のように、現金以外の支払手段を提供することはお客様の満足度向上につながる可能性が高いです。逆に、今後キャッシュレス化が進む中でその手段を提供しないことは、来店数を減らすなどの機会損失につながりかねない状況です。その意味では、キャッシュレス決済の手段をまだ提供していない実店舗事業者は導入について検討すべきと言えます。 但し、注意しなければならないのは、キャッシュレス決済の導入は店舗側にとってメリットだけでなくデメリットもあるという点です。特に決済手数料の負担と入金サイクルの長さは、資金繰りの観点で大きな問題にもなり得ます。その為、キャッシュレス決済サービスはやみくもに導入すれば良い、ということではなく、メリットとデメリットを十分考慮した上で、自社にとって十分成果が見込めるサービスを選択することが不可欠となります。