ICT活用企業紹介

想定外の効果を生んだテレワークの導入

情報システム業A社

2019年7月22日から9月6日まで、総務省や内閣府などによる「テレワーク・デイズ2019」が実施されています。働き方改革や2020年の東京オリンピック開催に備えてのテレワークですが、情報システム業A社様では、柔軟な働き方の実現による社員のワーク・ライフ・バランスの向上を目的に2017年から在宅勤務を中心としたテレワークを導入され、社員の7割以上の方が経験されるなかで導入の効果をあげられている他、想定外の効果も生まれています。今回はその取り組みを紹介したいと思います。

テレワーク実施には環境整備が重要!

情報システム業A社様は社員約300名のソフトウェア開発を主とした事業を展開されていますが、テレワークを導入するに当たり、まず以下の3点を中心に環境を整えるところから始められました。

<導入に備えて整備した環境>
① 在宅勤務での業務の質の維持
② セキュリティの確保
③ 就業管理

① 在宅勤務での業務の質の維持

まずテレワークを実施するに際し、業務を社内と同等の質で行える必要があります。その為に業務実施に必要なデータやファイルの共有、随時コミュニケーションをとるためのチャットや遠隔での会議を行うためのWeb会議の導入、そしてテレワークを行うときのルールの設定を行われました。テレワークを行うためのルールとしては、実施するための環境が整っていること(端末、ネットワーク等)、実施する業務が在宅で可能なこと、当日在宅勤務することを上司に許可を取ること、業務の開始および終了を報告することなどが決められています。

② セキュリティの確保

次に在宅勤務にあたり、情報漏洩や端末紛失への対策などセキュリティの確保が必要です。その為に業務は会社にVPN(仮想の専用線)で社内の端末に接続し行うものとし、接続の際に利用する回線は社員に支給しているスマートフォンを利用し、自宅のネットワークや公衆WiFi等の利用は禁止すること、また在宅勤務で利用する端末はシンクライアント(端末自体にデータを保存できない端末)を会社から貸与することで万一の紛失時にも問題とならないよう対策されました。

③ 就業管理

そしてテレワークを行う際の就業管理として、2つの方法をとられています。ひとつは社員がテレワークの際に接続する社内端末にログ収集・管理ツールを導入する方法です。テレワークの際に社内端末に接続している時間をログから収集し、その利用時間を就業時間として管理することが可能となります。もうひとつが従来から導入しているグループウェアに就業中は必ずログインさせるという方法です。これにより、グループウェアの機能で社員のプレゼンス情報(接続中、会議中、席外し等の情報)を把握できるようになります。
A社様ではこのように物理的なことからルール、管理方法まで広く環境を整えることで、テレワークを実用可能なものとして構築されています。

テレワーク導入による想定外の効果。

以上のような環境で利用されているA社様のテレワークでは、2年ほど実施されてきた中でいくつもの効果が出てきています。
まず目的としていた社員のワーク・ライフ・バランス向上については、通勤時間がなくなったことや通勤そのものを行わないことによる負担の軽減、従来であれば休まざるを得なかった状況でも勤務可能となることなどから、社員の大きな満足が得られています。また、テレワークでは実施する業務を絞っていることや他からの割り込みが少ないなどにより、在宅の方が集中できる、喫煙者においては禁煙環境である社内で発生していた喫煙時のタイムロスがなくなるなどで生産性が向上するという、当初想定していなかった効果も得られました。
さらに副次的な効果として、データやファイルの共有化やそのためのペーパーレス化も図れたこと、Web会議では効率的な会議が行われるようになったことがあげられています。
また構築したテレワークの環境は、在宅勤務だけでなく、外出時や出張時などにも活用でき、外出先から社内作業のために戻る必要がなくなる、移動時間や待ち時間に業務ができることで生産性が上がるなどの効果も得られています。

解決すべき課題もあります。

こうして大きな効果を得られているA社様のテレワークですが、まだ解決すべき課題もあります。テレワークを行うには、単独で業務を遂行できる状況や立場にある社員でないと逆に非効率となります。指示、指導が必要なメンバーではチャットや電話による遠隔での指導では生産性や作業品質が落ちることが分かっています。また、テレワークに慣れてくると、いつでもどこでも業務ができることから、オン/オフができず仕事をやりすぎてしまう社員も出てきています。そして、テレワーク中の就業管理の厳密さも課題となっています。この点に関しては、就業規則の見直しや評価制度も含めての検討が必要です。

まとめ

働き方改革といった点で、テレワークの導入は大きな効果を得ることができる手段のひとつです。社員の意欲向上、柔軟な労働環境提供による人材確保・離職防止、業務効率化による生産性向上など多くの効果が見込まれています。A社様のようにテレワークを導入したことで大きな効果を得られている会社も多くあります。ただ、導入に際しては、自社の業務・業態をみて、導入可能な部署や業務からスモールスタートで始めることが有効です。
テレワーク導入の効果をもたらすことができれば、社員の方のワーク・ライフ・バランスの向上を図ることができ、みなさんの事業の発展にもつながるものと考えます。
今回の事例を参考に「働き方改革」の実現の一助にしていただければ幸いです。